ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

消しゴムで猫

毎年猫年ですから。 『消しゴムはんこ。で年賀状 十二支と猫とえんぎもの 決定版』津久井智子/著、大和書房消しゴムはんこで、年賀状を作りませんか。 十二支と、猫ももちろんあります。 毎年猫年の私には嬉しい配慮。できそうで難しそうで、でもやってみる…

あばれる。

さあごいっしょに。 『あばれネコ』キューライス/さく・え、KADOKAWAあばれネコがやってきた!とにかく、いきおいがある絵本。 やりたい放題にあばれる猫のいきおいに巻き込まれる快感を味わってほしいです。やりたい放題なのに、憎めない。 リズミカルな文…

赤い葉っぱ

小さな秋みつけた。 『さわさわもみじ』ひがしなおこ/さく、きうちたつろう/え、くもん出版赤いもみじ、黄色いもみじ。 さわさわと、風にのって。東直子さんと木内達朗さんのきせつのおでかけシリーズ。 大好きなシリーズ、秋はこの絵本です。お父さんと一…

大人計画

おもしろいを全力で。 『大人計画社長日記』長坂まき子/著、角川書店1988年旗揚げ、「おもしろいこと」を求める大人計画が辿ってきた道のりを、社長の目線から綴った本。「仕事を楽しむ」とはなにか。 「楽しい仕事」とはなにか。そんなことを考えさせてく…

最後の

ずっと一緒にいたかった。 『さいごの散歩道』長嶺超輝/文、夜久かおり/絵、雷鳥社この手で母を介護し、この手で母を殺めた。もしも大切な人が『要介護』になったとき、あなたはどうしますか?この絵本は、2006年に実際に起きた事件をモチーフにした物語で…

すっぽり

猫が好きなもの。 『ねこはすっぽり』石津ちひろ/文、松田奈那子/絵、こぐま社猫は好きな場所でごろりーん。 のびーんと伸びたり、がりがりしたり、ぺちゃぺちゃ食べたり、すっぽりはまったり。 どこまでも自由な猫のしあわせ絵本。のびやかな絵が魅力の松…

歴史に触れる

ヴェネチアの横顔。 『地図のない道』須賀敦子/著、新潮社友人が贈ってくれた1冊の本に誘われて、ヴェネツィアのゲットへ向かった。 水の都ヴェネツィアの歴史を巡るエッセイ。そこに生まれ育った人にしか見えない世界というのはあると思う。ヴェネツィアと…

猫にGPS

どこ行ってたの? 『猫にGPSをつけてみた』高橋のら/著、雷鳥社東京から引っ越した先の田舎で出会った6匹の猫。 ある時、猫たちにGPSをつけてみたら、いろんな気づきがありました。うちの猫、いつもどこまで遊びに行ってるのかな。 猫飼いさんの素朴な疑問…

4つのボタン

ポジティブ! 『ねこのピート だいすきなよっつのボタン』エリック・リトウィン/作、ジェームス・ディーン/絵、大友剛/訳、長谷川義史/文字画、ひさかたチャイルド猫のピートは、このシャツが大好き。 あれ、ボタンがひとつとれちゃった。 ピートは悲し…

はなちゃん

毎日が夏休み。 『はなちゃんの夏休み。』石田ゆり子/著、ほぼ日石田さん家のラブラドールレトリバーはなちゃんから、お友達のぶいちゃんへ送ったお手紙。 写真たっぷりの、はなちゃんの日常。犬と猫に囲まれて暮らしている石田ゆり子さん。 この本は犬のは…

猫のおばけ

会いたい。 『猫のお化けは怖くない』武田花/著、平凡社愛猫くもが亡くなった。 空の雲を見上げるたびに思い出し涙する日々。 そして、軽やかにとりとめなく綴られる生活の記憶の断片。 モノクロ写真が美しいフォトエッセイ集。じんわりくる。私も、猫のお…

永遠の君を

救いたい。 『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子/著、筑摩書房就職先も決まり、あとは卒業するだけの大学4年生、ホリガイが出会った人たち。 どこにでもありそうな日常に、人の心に隠れた闇を、静かに描いた作品。デビュー作にして、太宰治賞受賞作。…

よみがえる

変態→天才と脳内変換。 『よみがえる変態』星野源/著、文藝春秋音楽活動にドラマや映画の撮影、執筆活動。 心身ともに休まる暇もなく働き続け、ある日、病に倒れる。 復活までの一部始終を惜しげもなく綴ったエッセイ。突然ですが星野源さんが好きです。き…

原点の猫

カイちゃんです。 『ママになったネコの海ちゃん』岩合日出子/文、岩合光昭/写真、ポプラ社海ちゃんは、岩合光昭・日出子夫妻が初めて一緒に暮らした、二人にとって特別な猫。 そんな海ちゃんの成長の過程を綴ったノンフィクション。今は、「猫写真家と言…

ふたりの真実

事実と真実。 『流浪の月』凪良ゆう/著、東京創元社再会すべきではなかったかもしれない。 一緒にいるべきではないのかもしれない。 それでも再会した二人の、運命が動き出す。本屋大賞に輝いた作品。正直、なめてました。 すみません。読む前は、読んで楽…

夏子の物語

生きる、産む、産まれる。 『夏物語』川上未映子/著、文藝春秋パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子。 精子提供で生まれ、父の顔を知らない逢沢潤。 生まれて、生きる。『乳と卵』と連なる物語。 「とてもよかった!」と数人からすすめられたので読みま…

読書会@リカ

10月4日、寄居読書会でした。今回から5人のメンバーで幹事を順番にまわしていくスタイルで開催します。 今回はHさんプレゼンツの読書会でした。場所はアトリエ・リカさんの2階の小部屋。 リカさんはいつ来ても素敵な空間です。課題本は羽田圭介の『スクラッ…

賢治せんせ

私はどこへ行くのだろう。 『賢治先生』長野まゆみ/著、河出書房新社賢治が汽車のなかで出会った「ジョバンナ」と「カムパネッラ」は、どこへ行ったのでしょうか。幻想的な物語。出てくるものや言葉が美しくて、うっとりしてしまいます。長野まゆみさんが描…

ねこになる!

まーるくなって。 『ねこになっちゃった』角野栄子/作、よしむらめぐ/絵、小学館アコちゃんの仲良しは、ぬいぐるみのトラトラちゃんとクマちゃん。 みんなで、隣のうちのねこのミミのまねをして遊びます!とってもかわいらしい絵本です。 ふっくらとした優…

梨の子

可愛くて強い女性は美しい。 『梨の子ペリーナ』イタロ・カルヴィーノ/再話、関口英子/訳、酒井駒子/絵、BL出版梨と一緒にかごに入れられ、王様の宮殿にやってきたペリーナ。 召使いとして働くペリーナは、誰からもかわいがられ、王子とも仲良くなりま…

三足の烏

来園か、地獄か。 『楽園の烏』阿部智里/著、文藝春秋資産家である養父から、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。 その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。 この山には一体、何が隠されているのか? 八咫烏シリー…

ぼくの声

あふれる思い、聞いて。 『ぼくはいしころ』坂本千明/作、岩崎書店石ころのように、じっとだまって、ひとりで生きる黒猫。 でもあるとき、「こんにちは」と声をかけてくる人間があらわれて…。『退屈をあげる』のたましいを受け継ぐ、尊い本です。 涙があふ…

と思いきや

異世界への入り口はやっぱりそこ。 『ねこはるすばん』町田尚子/作、ほるぷ出版ねこは、るすばん。とおもいきや…? 人間の知らない、ねこの意外ないちめん。『ネコヅメのよる』で大好きになった町田尚子さんの新作猫絵本です。町田さんの絵本の何がいいって…

ニャンルー

慈しむこころ。 『ねこのニャンルー』どいかや/作、偕成社森の中で家族と暮らす、ねこのニャンルー。 おばあちゃんにおそわって、おじいちゃんのセーターだった毛糸をぜんぶ使って、長い長いマフラーを編むことに。ニャンルーと家族の、あたたかな物語。 お…

ねんねんねこねこ

夢の中ならどこへでも。 『ねんねこ』ザ・キャビンカンパニー/作・絵、小学館夜、なかなか眠ろうとしない子猫。 お母さん猫は、夢の中で遊びましょうと、夢の中で待ち合わせをします。独創的なタッチと色彩で人気の、ザ・キャビンカンパニーの猫絵本。 色彩…

映像の裏側

想像してごらん? 『イマジン?』有川ひろ/著、幻冬舎ドラマや映画をつくる映像制作の現場に飛び込んだリョースケ。 憧れの世界で、ひたすらにがむしゃらに突っ走る!最近のテレビドラマは、SNSなどに公式情報をいろいろアップしていて、撮影現場の様子をの…

音の正体

静かな音。 『しずかでにぎやかなほん』マーガレット・ワイズ・ブラウン/さく、レナード・ワイスガード/え、谷川俊太郎/やく、童話館出版ある夜、子犬のマッフィンは、とても静かな音で目を覚ましました。 とてもとても静かな、その音の正体は?大好きな…

愛しの黒猫

黒猫は奥が深い。 『魅惑の黒猫 知られざる歴史とエピソード』ナタリー・セメニーク/著、グラフィック社黒猫の歴史や伝説、知られざるエピソードが楽しめる魅力的な1冊です。黒猫びいきというわけではないのですが、子どもの頃はじめて飼った猫が黒猫で、そ…

カラフルな数

左右盲も研究してほしい。 『1は赤い。そして世界は緑と青でできている』望月菜南子/著、飛鳥新社「文字に色がついて見える」共感覚を備える女子大学生が、ありのままを綴ります。なんとなくの知識しかなかった共感覚。 とても興味深く読みました。共感覚…

犬王

窮極の美。 『平家物語犬王の巻』古川日出男/著、河出書房新社「平家物語」の現代語訳を手がけた古川日出男による、平家物語異聞。犬王は、同時代を生きた観阿弥、世阿弥とともに三代将軍足利義満の愛顧を受け、二者よりも贔屓にされていたと言われる能楽師…