ぼくの声
あふれる思い、聞いて。
『ぼくはいしころ』坂本千明/作、岩崎書店
石ころのように、じっとだまって、ひとりで生きる黒猫。
でもあるとき、「こんにちは」と声をかけてくる人間があらわれて…。
『退屈をあげる』のたましいを受け継ぐ、尊い本です。
涙があふれるとか、全私が泣いたとか、そういうの通り越して、たましいが震える。
うちに、すごく鳴く子がいるんです。
その子は、ずっと人間が信じられなくて外で生きてきた子なんだけど、何年か前からうちの子になってくれました。
今でも人間は半分くらい信じてない感じ。
その子は鳴くとき、本当に必死に、うったえるように鳴くんです。
なに?どうしたの?わかったよ?って、声をかけてもなでてやっても、ずっと鳴いてる。
たくさんの抱えてきた思いがあふれてるんだなあって、この絵本を読んで、思いました。
猫が鳴くのは、人間にだけだと、なにかで聞いたことがあります。
赤ちゃん猫が母猫を呼ぶように、人間にむかって鳴くんだと。
猫からの甘えと信頼がそこにはあると思うと、人間として誇らしい。
猫が鳴く声は、しあわせの声。
私はそう思っています。
猫に「にゃあ」と鳴いてもらえる人生を、ずっと続けていきたい。
『ぼくはいしころ』本当にすばらしい絵本です。