ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

空飛ぶねこ

気球に乗ってどこまでも


『ききゅうにのったこねこ』マーガレット・ワイズ・ブラウン/さく、レナード・ワイスガード/え、こみやゆう/やく、長崎出版

ねずみに追いかけられてばかりいたこねこ。
ある日こねこは気球に飛び乗り、ねずみのいない所へ行くことに。

ねずみが怖い。
「猫なのに」と言われてしまいがちな設定。
そこにつっこませる隙間を与えずに描きはじめる出だしから、もうこの絵本が好きです。
怖がりな子トラを描いた絵本『こわがらなくていいんだよ』にも通じる世界観。
ねずみは怖いけど、空を飛んでいく勇気は持ち合わせているんですから、この子猫はたいしたものです。

汽車やサーカス、大きな街の上を飛んでいく子猫。
「ぼくはいまどこにいるの?」とたずねると「あなたは気球のかごの中でしょう」と返ってくるのがいい。
高いところから眺めているだけでは、そこにいることにはならない。

高いところから眺める世界はどれも穏やかそうだけど、時には雷や飛行機に遭遇して怖い思いもします。
空には空の怖さがあるのですね。

子猫はどこへたどり着くのでしょうか。

ワイスガードが描くきょとん顔の子猫がかわいらしい。
大好きコンビが手がけた猫絵本、ようやく古本で入手したら表紙が少し破れていたけれど、私の宝物です。