ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

鏡の向こう側

童話の狼。

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かがみの孤城辻村深月/著、ポプラ社

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めたー。

遅ればせながら読んでみました。
中学生の、居心地の悪さとか、生きづらい感じとかが、リアルに伝わってくる物語。

異世界ファンタジーだけど、現実世界の重みもそのまま異世界に持ち込まれていて、あまりファンタジーっぽくない。どこまで行っても、ひとりの中学生のリアルな世界。

YA向きだからか、大人の私には展開や伏線がわかってしまって、驚きや感動はそこまでなかったのですが、現役世代には、響くことがたくさんあると思います。

学校と家が世界のすべてだった、あの頃の物語。

読後感が清々しいYA小説です。

猫の唄

セクシーです。

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『うちのねこちゃん』松谷みよ子/文、小沢良吉/え、偕成社

松谷みよ子さんの、あかちゃんのわらべうたシリーズ。
おしゃれなねこちゃんと、とらねこあにきが登場します。

私はこのわらべ唄を知らないのですが、ぜひ聴いてみたい!
赤ちゃんに歌ってあげるには、何ともおしゃまなお話ではないですか。
小沢良吉さんの絵もどことなく色気があって、ドキドキしてしまいます。

この表紙のねこちゃん。
猫足のお風呂に入っているところも、なんだかセクシーです。

あかちゃんに歌ってあげたい猫のわらべ唄絵本。
ほんわかとした色使いが、優しい気持ちにさせてくれます。

雨の日には

雨の日のファンタジー

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『あめのひ』サム・アッシャー/作・絵、吉上恭太/訳、徳間書店

外は雨が降っています。
ぼくは雨の中で遊びたいけど、おじいちゃんはやむまで待とうと言います。
ようやく雨がやんで、外に出ると…。

外に出たくてたまらない男の子の気持ちが伝わってきます。
雨の日には、雨の日の楽しみがある。

梅雨の季節にぴったりの、雨の日が楽しくなる絵本です。

野良猫タンゲ

隻眼のニヒルなやつです。

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『タンゲくん』片山健/作、福音館書店

ある日ふらっとうちにやって来た、片眼の野良猫タンゲくん。
私の膝の上に乗ったり、ハラの上にのったり。
でも、昼間外で会っても、知らんぷりされてしまいます。
どこでどんなふうに過ごしているのかな…。

片眼の猫に「タンゲ」という名をつけるお父さん。
これ、わかる人にはわかりますよね。
表紙のタンゲくんの迫力ある顔つきに、納得の命名です。

表紙だけでなく、絵本全体が豪快で迫力満点です。
野良の世界で生きるタンゲくんと、女の子の愛情を受けて満足そうなタンゲくん。
両方の生き方のいいとこ取りして、幸せに暮らしてほしい。

外で勇敢に生きる野良猫たちへの愛情を感じる、おすすめの猫絵本です。

魔法の水

信じるということ。

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『星の子』今村夏子/著、朝日新聞出版

生まれながら病弱だったちひろを救うため、両親はあらゆる治療を試みる。
ある時、父が同僚からすすめられた「金星のめぐみ」という水を使うと、ちひろは回復した。
やがて両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき…。
中学3年生のちひろの目からみた、家族の物語。

難しいテーマを扱っているけれど、とても読みやすい作品です。
私の幼なじみとちひろが重なって、特別な思いで読みました。

世間から見ると「変わった振る舞い」をする両親のために、嫌な思いをすることもある。でも、物心ついた頃からそこにあった宗教との関わり合いは、ちひろにとってある意味「当たり前」のことでもある。
それが良いとも悪いとも言わない。
そこに好感を持てました。

多感な年頃の女の子にとって「まわりからどう見られているか」は大きな問題です。両親が恥ずかしいと思うことなどは信仰や育ちに関係なく、誰にでも一度は訪れるものではないでしょうか。

ちひろの家庭はちょっと特別な事情を抱えているけれど、それ以外は、本当に普通の中学生の物語。
恋もすれば、友だち関係に悩んだりする。
好きな人に恥ずかしい所を見られたくないし、親に反発して出て行く姉弟もいる。
なにも特別なことではない。

そう思わせながらも、見てはいけない家庭の事情を垣間見てしまったような気持ちが残るのは、この作品の凄さだと思います。

今村夏子さんの作品は、どの本も装丁が素敵です。
思わず手に取らずにはいられない、美しい本ばかり。
『星の子』も美しい本です。

読書会@ネコオドル

6月16日、ネコオドルで読書会を開催しました。
寄居読書会の第13回目です。

課題本は谷崎潤一郎『猫と庄造とふたりのをんな』
参加者は4名。

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この作品、今回はじめて読みました。
とんでもなくダメな男の物語。
庄造なんて古めかしい名前ですが、30歳男性です。
不倫の末に再婚した妻と、元妻と、愛猫をめぐる、しょうもない物語。
あまり谷崎っぽくないな、という印象がありました。

谷崎といえば『痴人の愛』を読んだという人が多くて、私もその一人でした。
大学の授業でファム・ファタル(運命の女、魔性の女)についての物語をいろいろ読んでいた中のひとつだったのですが、その話をしたところ、「リリーはファム・ファタルなのでは」という意見が飛び出しました。

そう言われて読み返してみると、リリーにはファム・ファタル的要素が!
周りの人間を翻弄しているその姿、まさに小悪魔的です。
当のリリーにはその気は全くないところがいいですね。
人間の踊らされてる感、滑稽さが際だって見えます。

「谷崎といえば」という印象を話し合ったのですが、みなさん共通して『知人の愛』や『刺青』などの倒錯したイメージが強いので、この作品は意外な感じで、「落語みたいだ」という意見も。まさに。

その点も、リリーをファム・ファタルと考えると、なるほど。
一転してこの滑稽物語も、谷崎的作品群に落ち着いてしまいました。

人間を猫に置き換えるだけで、こんなに平和な物語になるのだなあ。

ひとりで読んでいたら気づけなかった視点に出会えるのが、読書会の魅力のひとつ。
楽しいひとときになりました。

愛しの黒猫

黒猫大好き。

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『くろねころびんちゃん ごろごろ』くろねこいしょう/さく・え、キーステージ21

黒猫のロビンちゃん。
ビー玉や毛糸玉を転がして、ごろごろ。
大きいものだって、ごろごろ転がします。
でもお空でかみなり様がごろごろ鳴りだすと…。

黒猫好きな私にはうれしい、黒猫の絵本です。
猫のかわいらしさが全開です。

テンポとリズムがここちよい。
小さい子と一緒に声に出して読んでも楽しそうですし、オシャレで大人にも嬉しいテイストです。

ろびんちゃん第2弾の『くろねころびんちゃん ぷんすか』も、とてもキュート!

親子で楽しみたい猫絵本です。