ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

桜の木で出会いましょう

たくさんの出会いがあります。

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『はじめまして』近藤薫美子/作・絵、偕成社

一本の桜の木をめぐるさまざまな「はじめまして」。
春には桜の花に集まる虫や鳥。
夏には新緑や小さな実と出会い。
春、夏、秋、冬、それぞれの季節に訪れる出会いを描いた絵本です。

同じ桜でも1本1本違う木だから、それぞれに「はじめまして」が生まれる。
当たり前のようで見過ごしがちなことを、優しく丁寧に描いています。
出会いや生命の尊さ、大切さが伝わってきます。

たくさんの虫たちや鳥たちが登場するので、細かいところまでじっくりと読みたくなる。

「はじめまして」の季節に、子どもと一緒に読みたい絵本です。

野菜を食べる

こだわり野菜のこだわりレシピ。

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『Cool Veg 農家が提案するこれからの野菜レシピ』ホマレ姉さん/著、雷鳥社

20年間有機野菜農家を営むホマレ姉さんが提案する野菜料理の本。
「楽しく食生活を送る」ことがポリシーです。
美しい写真とかわいらしいサイズ感で、持っているだけでも楽しくなるレシピ集です。

楽しく、おいしく、そしてお洒落。
有機野菜農家さんだけあって、手に入りにくい野菜もあえて使っていて、その攻めた感じがとても素敵です。

写真が本当にきれいで、私のお気に入りは「八重桜のシロップ」。
料理本にはめずらしくピンク一色のページ、目をひきます。
八重桜のシロップを炭酸水で割ってつくった桜サイダー、飲みたい!

試したくなるレシピがたくさんです。
眺めているだけで幸せな気持ちになれる素敵な1冊です。

読書会×グラレコ

3月18日、ときがわ町で『 読書会議×グラレコ~「本屋ときがわ町」を形にするには~』に参加して来ました。

ときがわカンパニーさんが4月からioffice内で本屋さんをはじめるのですが、ときがわ町全体をまきこんで「本の町」にするにはどうしたらいいか、本に関わるお仕事をしてる人、これから本屋をやりたい人、とにかく本が好きな人など、本に対して熱い想いを持った人達が集まり会議をしました。


まず、参加者それぞれが持ち寄った「本屋に関する本」を紹介しあいます。
私は大井実さんの『ローカルブックストアである』を紹介しました。私が本屋に一歩踏み出すきっかけになった本です。

話し合いの様子は、グラフィックレコーダーさんがその場で大きな紙に書き出していきます。

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はじめてのグラフィックレコーディングに感動!

本の紹介が終わったあとは、グラレコを見ながら更に意見を出しあっていきました。

キーワードとして、
・なぜ本屋なのか
・本×○○
・イベント
・地域密着
などがあげられました。

読書会議は更に回を重ねて深めていくようです。

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みなさんが持ち寄った本たち。

本好きな人達と、本について本屋について話をするのは本当に楽しいです。あらたな発見や気づき、頭の片隅にあった情報の引き出しなど、刺激がいっぱいでした。

本屋ときがわ町ioffice店は4月20日にオープンします。
ビジネス書の古本専門店になりますが、「しるし本」という面白いスタイルです。
本屋ときがわ町ioffice店についてはこちら→https://tokigawa-company.com/book-town-tokigawa-ioffice-open_190306/

オープンイベントとして、ネコオドルも出店させていただくことになりました!オープンのお祝いに花を添えられるよう、選りすぐりの本を持って行きます!

猫はかしこい

世界は、肉球よりも、まるい。

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『きりこについて』西加奈子/著、KADOKAWA

きりこは「ぶす」な女の子。
小学校の体育館裏で、人の言葉がわかる、とても賢い黒猫ラムセス2世をひろった。
「ぶす」と言われて傷ついたきりこが見つけた、世の中で一番大切なこととは。

西加奈子さんの独特の表現が面白くて、楽しく読めます。
どこまでも冷静で中立的な視点がすがすがしい。
結構ストレートにいろいろなことを書いているのだけれど、イヤな気持ちになることはありません。
実は重たいテーマだと思うのですが、これだけカラリと描けるのはすごいと思います。

人も、猫も、いるだけでいい。

猫の聡明さと優しさに満ちた、猫好きにもイチオシの1冊です。
最後の方でラムセス2世が言う「借りてきた猫は、すぐに返しなさい」がツボでした。

コンプレックスのかたまりのような少女時代を、吹き飛ばしてくれる小説です。

本の街

いつか訪れたい夢の街です。

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『世界のかわいい本の街』アレックス・ジョンソン/著、井上舞/訳、エクスナレッジ

世界の小さくてかわいい41の本の街を集めました。

日本で「本の街」といえば、神保町。
世界中にもこんなにたくさん「本の街」があるなんて、本好きの心は躍ります。

美しい写真の数々から、街の雰囲気が伝わってきます。
本の街の成り立ちや街の歴史も紹介されていて、本好き、本屋好きなら手に取りたい1冊。
眺めているだけで楽しめる、ビジュアルもすばらしい本です。
本好きさんへのプレゼントにもおすすめです。

なかよく半分こ

欲張ってはいけませんね。

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『おおきなねことちいさなねこ』石黒亜矢子/再話・絵、好学社

仲良しの大きな猫と小さな猫が、大きなおにぎりと小さなおにぎりを拾います。
おなかがペコペコの2匹は、どちらが大きなおにぎりを食べるかを巡ってけんかに。
決着がつかない2匹は、賢いと評判の山のお猿に相談に行きますが…。

再話とあるので、これは民話が元になっているのでしょうか。
コミカルな絵が笑いを誘います。
当の猫たちは、いたって真剣なのですから、笑ってはいけないですね。
でも、一生懸命さがかわいらしい、楽しい絵本です。

背景に描かれた動物たちなども、眺めているといろいろな発見があります。
何度もめくって、何度も読んで、たくさんの楽しみを味わってほしい。
そんな猫絵本です。

色あせない名作。

食べること。生きること。

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『キッチン』吉本ばなな/著、新潮社

唯一の肉親だった祖母を亡くし、祖母と仲の良かった雄一とその母の家で暮らすことになったみかげ。
なにげない日常のなかで、時には孤独を感じながら、喪失感から癒やされていく。

3編のお話どれも、死、残された者の喪失感、孤独、そういったものが感じられる作品です。

吉本ばななさんは私よりちょっと上の世代の作家さんなので、大人の小説、という印象がありました。
私が読んでいたのは江國香織さん、梨木香歩さん、ちょっと後には橋本紡さん。
『キッチン』は読んだ方がいい、と私の中の人がささやくのである日読んでみたら、すごく好きだった。
なんで今まで読まなかったんだろう、と悔やんだのでした。

文章に触れていると、すっと心が落ち着く。
そんな作家さんです。

改めて読み直してみたら、約30年前に発表された作品なのに、まったく古くない。LGBTが受入れられてきた今の方が、むしろすんなりと読めるのかもしれません。
公衆電話の時代の話、そこはスマホの現代とは違いますが、それも気にならないほど、みずみずしかった。いつでもどこでも繋がっていられる現代に、3泊の伊豆出張の大きさは伝わらないかもしれないけど、「距離」や「すれ違い」が今よりもっと存在感をもっていた昔が、どこか美しく思えました。

いつまでも読み継がれてほしい、静かな物語です。