ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、保護猫5匹と暮らしています。本屋さんになるための修行中。

空を飛ぶ方法

すっごくツボにはまりました。

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『少年少女飛行倶楽部』加納朋子/著、文藝春秋

中学生の海月は、幼なじみに誘われて「飛行クラブ」に入部する。
活動内容は「空を飛ぶこと」という変わったクラブには、やっぱり変わった人達が集まっている。
彼らは、果たして空を飛べるのか。どうやって飛ぶというのか。

設定は何から何まで変わっているけど、友情、恋愛、家族、挑戦、冒険、いろんなものがすべてつまったドストレートの青春小説です。
個性的な面々が集まった部活小説というのは、YA作品ではよくある設定ですが、この本は、それだけではないエンターテイメント性を持っています。

部長が神(ジン)という名前なんですが、海月がカミサマ部長と呼んでいて、心の中でいつもツッコミをいれるんです。徹底的にツッコミをいれるそれが面白くて、個人的に癖になりました。

図書館の仕事のなかで中高生向けの本を探して色々読んでいたなかで、面白いなあって、本当に思った1冊です。
こういうエンターテイメントを楽しんでほしい。
物語も、文章も、楽しんで読めます。

この本をきっかけに加納朋子さんの他の本も読み出したのですが、テイストが違うので驚きました。
特に『トオリヌケキンシ』は、色々な病気をテーマにした短編集なのですが、トラウマになるかと思うほど怖いお話がひとつあって、忘れられなくなりました。ホラーとかミステリーとかではなく、人間が怖いんです。
心をつかむ描写、本当に巧い作家さんなんですよね。
こちらもおすすめです。

夜になると

人間の知らないできごと。

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『はくぶつかんのよる』イザベル・シムレール/文・絵、石津ちひろ/訳、岩波書店

『あおのじかん』のシムレールの絵本。
美しく繊細な色合いに目を奪われます。

みんなが眠りについた夜の時間、博物館の展示品やおもちゃ箱の人形が動き出す…。そんな夢のようなことを想像できるのは、子どもたちの特権だと思います。
どうにかして起きていたいけど、眠気には勝てない子どもたち。
でも、眠りの世界に入るからこそ、寝ている間に魔法はおきるのです。

夜の魔法は、徹夜するような大人には、おきないものですよね。
夜更かしせず、早くふとんに入りましょう。

誰もいなくなった夜の博物館、人間がやってくる朝の時間まで、そこではどんなことが起きているのでしょう。
ページをめくりながらワクワクする絵本です。

碧の世界

これは紹介してはいけない本かもしれません。

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『碧の迷宮 上』氷室冴子角川書店

永遠の未完の名作。
出版されたのは1989年。
私が読んだのはその10年後くらいでしたが、その時にはすでに「下巻は出ない」と言われていました。
どんな事情があったのかはわかりません。

でも、とても素敵な小説なんです。
平安時代が舞台の、王朝ロマンたっぷりのミステリー。
「下巻は出ない」と言われているのに読みはじめ、読み終わると「ああ、下巻が読みたい!」と身もだえしました。
氷室冴子さんの王朝モノは、他にも代表作といわれる作品がいくつもあり、どの作品も好きですが、私はこれが自分のなかの1番になる予感を感じていました。完成しなかったので、その答えあわせはできないままですが…。

氷室冴子さんがご存命の間は「もしかしたら…」という淡い期待もしていましたが、他界された今となっては、本当に永遠の未完となってしまいました。

表紙のイラストも、タイトルも、何もかもがとても気に入っています。
未完成のまま心に残る、宝物の1冊です。

寄り添うだけで

猫はそこにいるだけで癒やしです。

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『ねこの看護師 ラディ』 渕上サトリーノ/文、上杉忠弘/絵、講談社

弱り痩せ細った黒猫ラディは、助けられた動物保護施設で、奇跡的な回復をみせます。
するとラディは、施設に運び込まれてくる、ケガや病気で弱った様々な動物たちにそっと寄り添うように。
その姿は、まるで猫の看護師のようで。

これは、本当にいる猫のお話です。
ラディは、自分の意思で、動物たちの元へそっと寄り添います。
それだけのことですが、それはとても素敵なことです。

猫は感謝する生き物だと、私は感じています。
長年野良猫として生きていた猫を、数年前からうちのことしてお世話しているのですが、そのこは、毎日、今の生活に感謝しているかのように振る舞うのです。野良猫時代に大変な思いをたくさんしてきたのだと思います。
ラディも、つらい経験をしてきた分、そしていま幸せになれた分、まわりに感謝していて、恩返ししているのでしょうね。

ただそこにいるだけで、みんなの癒やしになれる。
そんな猫の絵本です。

魂のおむすび

心の栄養、たっぷりです。

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『おむすびの祈り 「森のイスキア」こころの歳時記』佐藤初女/著、集英社

佐藤初女さんは、青森県岩木山山麓に「森のイスキア」という癒やしの場をつくり、悩みや問題を抱えた人たちを受け入れてきました。素材の味をそのままに頂く「食の見直し」により、体から心の問題も改善していくことができると訴えた初女さん。
おむすびは、そんな初女さんを象徴する食べ物です。

この本を読んで、いつか初女さんのおむすびを食べに行きたいと思っていましたが、日々は過ぎ、初女さんは2016年に永眠されてしまいました。

悩み、疲れたとき、受入れてくれる場所がこの世界にあると思えるだけで、救われる気がします。
本当にだめになったら、あの場所に行けばいい。
だから、大丈夫。
もう少し頑張ってみよう。

この本を読んで、人は一人ではないと、感じることができました。
初女さんの強さと優しさは、頑張る人へのエールになって、本を通じて伝わってきます。
すべての戦う日本人へ、届けたい1冊です。

妹の逆襲

私は妹なので、姉妹を描いた本は大好きです。

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『いもうとかいぎ』石黒亜矢子/作、ビリケン出版

姉に虐げられている(?)妹たちが集まって、姉を反省させるための作戦会議を開きます。
いろんな意見が出てきますが、どんどん過激になってきて…。

私自身は、姉を「おねえちゃんばっかり、ずるい!」と思ったことはないと思うのですが、それでもなぜか「わかるわかる」と思ってしまう、いもうと絵本。
姉には姉の大変さもあるのでしょうが、妹にも妹の言い分がある。
似ているようでわかり合えない、それが姉と妹という立場の違いなのでしょうね。
でも、根本の部分では、とても仲良し。
それが姉妹です。

最後はもちろん、ほっこりできます。
石黒亜矢子さんの個性的な絵がかわいらしい、姉妹に贈りたくなる絵本です。

涙のにおい

猫には隠し事はできません。

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『夜廻り猫』深谷かほる/著、講談社

涙のにおいをたどって、心で泣いている人の心に寄り添うためにやってくる夜廻り猫。
傷ついた人を励ますために、毎夜、現れます。

友人から「まだ読んでなかったら読んでみて」と貸してもらった本。
これは面白い。そして深い。
猫の本ですが、猫の本ではない。
人の心の機微を繊細にとらえた、人間の本です。
なにも知らずに読んで、泣いてしまいました。

猫は、飼い主の気持ちに寄り添ってくれる、優しい生き物です。
落ち込んでいる時には、そっと寄ってきて一緒に寝てくれたり。
そんな猫の敏感な性質をうまく表しています。本当は食べ物の方が気になる性質も。
人間の悲哀、困難、いらだちは、猫が察知してしまう。
だから、いつも楽しく笑顔で、優しくいてあげたいと思います。

夜廻り猫、遠藤平蔵。
うちの街にもやってきてほしい。