ピャ!
ママの誕生。
『ピヤキのママ』ペク・ヒナ/作、長谷川義史/訳、ブロンズ新社
ニャンイという厄介ものの猫がいました。
ある日、大好物のうまれたてのたまごを食べたところ、日に日におなかがふくらみます。
そして出てきたのは、う○こではなく、ひよこ。
「ピヤキ」と呼んで、世話をしているうちに…。
ナンセンスなのにあたたかい愛の物語。
表紙の猫のふてぶてしい顔にノックオンされたわけですが、その期待を裏切りません。
予想外の出来事にあたふたしながらもしっかりと「ママ」になっていく、不器用でユーモラスな姿は、とても愛おしいものです。
成長していくその後のピヤキも気になる、ママの誕生物語。
子どもと大人が一緒に楽しめる素敵な絵本です。
活版印刷とネコオドル
2022年8月でネコオドル店舗開業3周年を迎えます。
ネコオドルとして活動を開始したのはその1年前なので、誕生からは4周年…ということは、5年目突入。
3周年で5年目、なんだかちょうどよくない?
(なにが?)
ということで、記念グッズを作りました。
活版印刷の栞ちゃん。
猫のように気まぐれに。
本当に偶然の出会いがあり、寄居町で活版印刷ができることを知りました。
ドアーズレタープレスさん。
寄居町鉢形のサイタマ印刷さんが運営する活版印刷室です。
紙も活版印刷も大好きで、大人の科学マガジンの小さな活版印刷機も購入したことのある私。
活版印刷で作られた本に1文字だけ活字が横向きになっているのを見つけると「あ、誤植」としみじみ嬉しくなってしまう私。
川越が舞台の小説『活版印刷三日月堂』(ほしおさなえ/著、ポプラ社)を読んでは、寄居にもこんな印刷所あったらいいなあと夢見ていた私。
そんな私の前に颯爽と現れたドアーズレタープレスさん。
お見本にいただいた活版印刷グッズ。かわいい。
寄居で活版印刷。
ただただ感動しました。
やらない手はないじゃないか!
「3周年なにかやりたい」に活版印刷がかけ合わさって、すぐに栞が思い浮かびました。
さっそくドアーズレタープレスさんに相談したところ、その後の展開が早かった!
「こんな厚さの紙でこんな感じのデザインで…」と、本当にぼんやりとした私のイメージを的確にキャッチして、即座にたくさんのデザイン案や印刷見本、紙の見本などを用意してくださいました。
家族にも相談しながらわいわいと。
あれよあれよという間に形になっていきました。
完成した栞は、何度も繰り返し使ってもらえるように、厚めの紙を選びました。
カラフルな3色。
みんな大好き元気カラー、黄。
ネコオドルのイメージカラー、青。
茶トラの猫色、茶。
インクはパキッと黒で。
とても素敵な仕上がりになりました。
たくさんの方に使っていただけますように。
ネコオドル×活版印刷、夢のコラボ第1弾。
8月から…と思いきや、7月31日からお披露目します。
1日猫原堂
7月17日、1日猫原堂でした。
熊谷のブックアパートメント「太原堂」さんの2階を1日貸し切った、猫好きによる猫好きのための猫イベントです。
太原堂を猫ジャック!
太原堂さんの棚オーナー仲間、ねこのみちさんが企画してくださり、素敵な出店者さんが集まりました。
企画に乗っかるだけでなにもしてない私、ねこのみちさんがアップしてくださる出店者さん情報を見ては「かわいい!」「ほしい!」と完全にお客さん目線でウキウキしてしまい、これは自分が一番楽しんでしまうパターン…「合言葉は自制心」ともう一人の自分に言い聞かせながらむかえた当日でした。
実は猫イベントは初めてのネコオドル。
わくわくがとまりません。
2階にある古箪笥を利用して商品を並べました。
素敵な古道具がある魅力的な空間なのです。
オープン前からお客さまが来てくださり、にぎやかにはじまりました。
いつもながら写真撮れなかったのですが、ベーグル、ハンドメイド雑貨、まねき猫の絵付けなど、盛りだくさんの内容。
ベーグル屋さんはオープンと同時に行列ができてました!
行列が途切れたタイミングで私がお昼用に購入したときには、すでに品切れのものも…。
にこわたベーグルさんのベーグル美味しかった。
ニャンモナイトと、ねこのおしり!
1階はいつもどおりシェア本屋さんなので、ねこのみちさんと交代で店番しながら、1階と2階をうろちょろ。
途中、ひと息つける時間が少しあったけど、お客さまはほとんど途切れることなく、あっという間に終了時間になっていました。
唯一撮れたねこのみちさんのスペース。
いつ見てもほれぼれします♡
出店者さんもお客さまもみんな笑顔なのが印象的で、猫愛あふれるとてもしあわせなひとときになりました。
1日猫原堂、また機会があればやりたい!
熱海の踊る猫
独特の猫踊り。
『浮世絵猫、おどる!』熱海Muddy Cat/著、KADOKAWA
熱海の街外れにあるバー「Muddy Cat」。
お店で会えるかもしれない3匹の猫の日常をおさめた写真集。
Twitterではじめてミチルさんの写真を見たときの「出会ってしまった」感は、衝撃として残っています。
個性的なお顔の柄と、どうみても踊ってる姿。
そして謎のタコがいつも一緒。
踊る猫には目がない私ですが、それすらも飛び越えて、目は釘付け心は虜になってしまいました。
見かけるたびにウットリとしていたのですが、だいぶたってから気がついた。
あれ、私フォローしてないじゃん…!
毎日のようにツイートが流れてくるので気づいてなかったようで、あわてて最近フォローしました。
そんなミチルさんたちが本になった喜び。
そして、タイトルが「ねこおどる」!
猫の気分でお店に来たり来なかったりするところも、みんな保護猫のところも、親近感だらけのMuddy Cat。
熱海に行くときにはきっと立ち寄りたいです。
猫の手屋
おのれのためは、猫のため。
『猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記』かたやま和華/著、集英社
ある事情で白猫の姿になってしまった武士の宗太郎は、裏長屋でよろず請け負い家業「猫の手屋」を営んでいる。
善行を積んで、元の人の姿に戻れる日はやってくるのか。
一風変わった時代小説。
愉快で大好きなお話です。
猫の姿とはいっても、背丈は人間のままで二足歩行、人の言葉をしゃべるのだから、今で言ったら猫の着ぐるみを着た人のようですね。
そんな宗太郎のことを周りの人達は「人に化けきれない猫」だと信じていて優しく見守っている、すんなりと受け入れるそのおおらかさがとてもいい。
宗太郎自身も、猫太郎とか猫先生とか呼ばれる度に「猫ではない…」と思いつつ、とっても前向きに現状を受け入れているところが素敵。
これがサムライ精神か。
猫は頭に手ぬぐいをのせて踊ると人に化けられるとか。
そんな、人になりたくて踊る猫も描かれていて、これは紛うことなき猫踊る本!
猫達が人になりたい理由も、とっても素敵です。
表紙イラストは石黒亜矢子さん。
世界観にぴったりはまってます。
シリーズ化されてる人気作、ホッと優しい気持ちになれる物語です。
バッファロー
永遠に結ばれる。
『バッファローのむすめ』ポール・ゴーブル/さく、もりしたみねこ/やく、ほるぷ出版
狩りの名人として知られている若者。
仲間に肉が必要な時はバッファローの群れを見つけて狩りをし、感謝の祈りを捧げていました。
ある日、バッファローの国からひとりの美しい娘がやってきました。
「おたがいの国のあいだに、愛がひろまっていくように」
若者の妻になりたいという娘と、若者は結婚するのですが…。
バッファローと人間との深いむすびつきを描いた絵本。
北米の大草原地帯でバッファローを追いかけていた部族たちの物語がもとになっています。
豊かな色彩と、ハッとするほど大胆でいて繊細な、紙面全体にわたって軽やかに描きあげる構図。
ポール・ゴーブルの世界に魅了されてから、絵本をポツポツと買い集めています。
なぜ絶版になっているのかが理解できないほど、胸にぐっとせまるよい絵本ばかり。
自然と共生し力強く生きるアメリカ・インディアンの世界。
エコやSDGs、有機や循環型や自給自足など、環境に優しく自分自身にも優しい生活がブームのようになっている現在。
身近なところでも、自然と共に生きることの大切さに気づき、実践に移している人も増えています。
私は、便利な社会を捨てることはできない。
一種のブランドのように「おしゃれにかっこよく」もてはやされているその生き方に、私はいまいちピンときていなくて、深い部分で理解できていないからだと思います。
けれど、この絵本を読むと、自然との共生とはこういうことか、と、合点がいくのです。
痛みを伴い、真の豊かさを知る。
強い女性の物語が好きな私ですが、これは勇ましい若者が主人公。
なぜかジブリの「もののけ姫」のアシタカを思い出してキュンとしてしまいました。
自然との共生を願う人なら一度は読んでほしい。
本当に美しい絵本です。