ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(一般)

踊る踊る

猫もしゃくしも。 『踊る猫』折口真喜子/著、光文社画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした、不思議な9つの物語。読書記録をつけているのですが、数年前にこの『踊る猫』を読んだことになっていて、でもどんな内容だったのか記憶がなく、本当に読んだのかピンと…

映画探偵

幻の映画はいずこ。 『チョコレートガール探偵譚』吉田篤弘/著、平凡社巨匠・成瀬巳喜男監督の映画「チョコレート・ガール」をひょんなことから追うことになった、作り話のような本当の話。フィルムは残ってないだろうと、早い段階で映像を探すことは諦め、…

百年の継続

必要だから作る、ただそれだけ。 『100年かけてやる仕事 中世ラテン語の辞書を編む』小倉孝保/著、プレジデント社2013年、イギリスで『中世ラテン語辞書』が100年以上の年月をかけて完成した。 採算度外視ですすめられた辞書作りプロジェクトを追ったノンフ…

ぐるぐる

ナイスうずまき! 『鎌倉うずまき案内所』青山美智子/著、宝島社悩める人々が迷い込む「鎌倉うずまき案内所」。 そこは双子のおじいさんとアンモナイトがいる不思議な場所。6年ごとに遡りながら、少しずつ繋がっている物語。 人々は「案内」をきっかけにそ…

烏外伝

垣間見る。 『烏百花 白百合の章』阿部智里/著、文藝春秋八咫烏シリーズ人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。 本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。本編も第2章がはじまったばかりで続きがとっても気になるのですが、そ…

美賀子

女の幕末。 『正妻 慶喜と美賀子』林真理子/著、講談社一条家から一橋慶喜のもとへ嫁いだ美しき姫、美賀子の目線で描いた幕末大河小説。NHK大河ドラマ「青天を衝け」で、登場シーンは少ないもののとても印象深く、気になっていた美賀君。本を探してみたら、…

砂漠の旅

ラクダとともに。 『水と礫』藤原無雨/著、河出書房新社東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へと戻ったクザーノは、砂漠のむこうの幻の町へ旅立ったー。第57回文藝賞受賞作。1、2、3と何度も反復して描写される世界。少しずつ矛盾をはらみなが…

旅をする本

無人本屋くらんなかさんで購入した本の話です。その前に、くらんなかさんのことを少し。くらんなかさんの本は、ほとんどが寄付で集まった本だそうです。お店の前には「寄付本はこちらに」という箱があり、誰でもいつでも本を寄付することができます。不要に…

にゃんにゃんにゃん

猫の下僕化計画。 『NNN(ねこねこネットワーク)からの使者 猫だけが知っている』矢崎存美/著、角川春樹事務所今日もミケさんたちは、猫好きな誰かのことをじっと見ている? 猫と人間の出会いを描いた5つのお話。「NNN」ねこねこネットワーク。 すべての人…

太陽の奇跡

いつも一緒に。 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ/著、早川書房AIロボットと病弱な少女の物語。舞台はいつか訪れる未来なのか、架空の世界なのか。 どこか無機質な雰囲気がこの地球上のことではないようにも感じられます。なんというか、不穏。人々の…

鳥と草木と

そこにいるかのよう。 『草木鳥鳥文様』梨木香歩/文、ユカワアツコ/絵、長島有里枝/写真、福音館書店梨木香歩による、四季の野鳥と植物をめぐるエッセイ集。画家・ユカワアツコさんが鳥の絵を描いているのは、古い「引き出し」の底。 その「引き出し」を…

空を自由に

幻想の青空。 『もうひとつの空の飛び方』荻原規子/著、KADOKAWA古典、ナルニア、ジブリまで。 荻原規子さんの「ファンタジーのDNA」を育んだ名作を紹介するブックガイド。『ファンタジーのDNA』を文庫化したもの。 単行本の一角獣のイラストが美しい表紙も…

借りたら返す

約束。 『古文書返却の旅』網野善彦/著、中央公論新社戦後の混乱期、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を夢見る壮大な計画のもと、全国から大量の文書が借用された。 しかし、事業は打ち切りとなってしまい、大量の未返却の文書が残されてしまった。 後始…

映画館で働く

『幻想電氣館』堀川アサコ/著、講談社趣味はシリトリという古風な高校生スミレは、ある日商店街の映画館に迷い込む。 そこで映写技師に一目惚れしたスミレは、アルバイトを始めることに。 風変わりな特技を持つスミレと、不思議な映画館で出会う不思議な人…

魔女が生み出すファンタジー

想像の空を飛んで。 『ファンタジーが生まれるとき 『魔女の宅急便』とわたし』角野栄子/著、岩波書店幼い頃からの体験、童話作家としての歩み。 想像の世界とのつきあい方から、『魔女の宅急便』誕生の裏側まで、角野栄子さんの創作の秘密を垣間見られます…

美術館で働く

やるしかない。 『展覧会いまだ準備中』山本幸久/著、中央公論新社新米学芸員の今田弾吉は、日々雑用をこなすことに精一杯で、いまだ自ら企画した美術展を実現させていない。 だが、応援団OBから鑑定を依頼された1枚の絵が、彼の心に火をつけた。大学時代は…

効率よく

読書でスキルアップ。 『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい』四禮静子/著、技術評論社タイトルにぐっときました。 ドキッときた、というべきでしょうか。 スペースキー使ってる…。ExcelとWordを効率的に使いこなすためのノウハウを教えてくれる実…

パリで働く

仕事と暮らし。 『パリの国連で夢を食う。』川内有緒/著、幻冬舎パリの国連で働いていた5年半のあれこれ体験記。川内有緒さんが取材して書いたノンフィクションを読んでいたら、その端々に見え隠れする川内さん自身の生き方にとても興味がわいてきて、この…

春一番

神様は犬。 『エチュード春一番 第1曲』荻原規子/著、講談社大学生になる春、美綾の家に迷い込んできたパピヨンは八百万の神様だった。 希望と悩みでいっぱいの大学生活と、ちょっと変わった神様との共同生活。 幼なじみとの再会と、昔の同級生の死にまつわ…

週末は猫

島といえば、猫。 『週末島旅』小林希/著、幻冬舎世界中を旅する作家・小林希さんによる、日本の島旅エッセイ。旅に出ることがむずかしい今だから、旅にまつわる本を読みたくなる。 小林希さんは、『日本の猫宿』『世界の美しい街の美しいネコ』など、猫と…

本と旅する

本と旅は相性がいい。 『本とあるく旅』森まゆみ/著、産業編集センター旅先での本をめぐる断想を綴ったエッセイ集。名作の舞台や作家の故郷をめぐり、旅先での思いかげない本との出会いを楽しむ。名作の舞台をめぐる、と言えば、近頃は聖地巡礼といわれるア…

たちどまる

裏表紙のアマビエが美しい。 『たちどまって考える』ヤマザキマリ/著、中央公論新社パンデミックを前にあらゆるものが停滞し動きを止めた世界。 イタリア、キューバ、ブラジル、アメリカと、世界を渡り歩いてきた漫画家・ヤマザキマリさんが、たちどまって…

図書室

奇跡のレファレンス。 『お探し物は図書室まで』青山美智子/著、ポプラ社人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。 彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。お話のな…

オオカミ

オオカミの護符に護られながら。 『オオカミの護符』小倉美惠子/著、新潮社川崎市の実家の土蔵で目にした一枚の護符。 描かれた「オイヌさま」の正体とは何か。 関東甲信の山々へ、護符をめぐる謎解きの旅が始まる。狼にはなぜか昔から惹かれます。 オオカ…

ブラジルの光と闇

ナーダとは「なんにもない」という意味。 『ナーダという名の少女』角野栄子/著、KADOKAWAブラジルのリオ・デ・ジャネイロで日本人の父と暮らす15歳のアリコ。 ある日、ナーダという名の不思議な少女と出会う。ブラジルが舞台の小説を読むのははじめてだと…

図書館の人

本の探偵。 『司書のお仕事 お探しの本は何ですか?』大橋崇行/著、小曽川真貴/監修、勉誠出版司書という仕事に興味を持っている人に向けて、司書の仕事を物語形式でわかりやすく伝える1冊。最近2巻目が出版された『司書のお仕事』。 まだ読んでいなかった…

自分だけの服

気張らず、気取らず、自分らしく。 『服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり』行司千絵/著、岩波書店自分や母や頼まれた相手のために、この世に1枚の服を縫う。 洋裁は独学だから、商売はせず、あくまで目の前の人のために。 自分を取りまく服とおしゃれの…

ふたりの巨人

世界を船に乗せて。 『空をゆく巨人』川内有緒/著、集英社福島県いわき市の生まれながらの商売人、志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。 1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきたふたりの「巨人」の実話。と…

社史をつくる

これだって立派な「本を編む」なのだ。 『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん/著、筑摩書房社史編纂室で働く幸代は、それなりに働き、仲間と趣味の同人誌づくりに精を出す。 しかし、社の秘密に気づいてしまったことで社史作りも同人誌づくりも思わぬ…

ココアの日

あたたかいココアをどうぞ。 『木曜日にはココアを』青山美智子/著、宝島社川沿いの桜並木のそばに佇む小さな喫茶店「マーブル・カフェ」。 そのカフェで出された一杯のココアから始まる12編の連作短編集。喫茶店の話なのかと思っていたら、それは第1話の舞…