ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(一般)

あなたも私も

通りすぎるまえに。 『ほんのちょっと当事者』青山ゆみこ/著、ミシマ社わたしたちが「生きる」ということは、「なにかの当事者となる」ことなのではないだろうか。 様々な社会問題を「自分事」として考えてみた社会派エッセイ。 社会派なのに明るくて、ユー…

猫を抱く

それぞれの幸せのかたち。 『猫は抱くもの』大山淳子/著、キノブックス東京郊外を流れる青目川に架かる「ねこすて橋」。 この橋では、夜になると猫たちが集会を開いている。 飼い猫、野良猫…それぞれの事情を持つ猫と人間たちが織りなす連作短編集。映画化…

賢治の愛

時代の波に消された恋。 『宮澤賢治 愛のうた』澤口たまみ/著、夕書房賢治には恋人がいた。生涯独身だったことから、その恋心は妹トシや親友に向けられたと解釈され「聖人」と呼ばれることの多い宮澤賢治。私は、賢治には結婚を考えるような恋人がいたこと…

冴子さんの日常

東京ライフ。 『冴子の東京物語』氷室冴子/著、集英社長電話魔の冴子さんは、莫大な長距離電話代を浮かすため、生まれ育った北海道から東京へ引越しをすることに。 1987年に書かれた、氷室冴子等身大のエッセイ。最近古本屋さんで見つけて、思わず手にして…

猫がいる百貨店

百貨店には魔法使いがいる。 『百貨の魔法』村山早紀/著、ポプラ社戦後の焼け跡のなかに、街の人々の希望として生まれ、愛されてきた星野百貨店。 創業50年を迎えた今、閉店が近いのではないかとささやかれている。 魔法を使う白い子猫がいるという噂がある…

赤と青

『赤と青とエスキース』青山美智子/著、PHP研究所赤と青で描かれた女性の絵。 1枚の水彩画によってつながる5つの物語。今までの青山美智子さんの作品とは少し違う印象がありました。 でも読み終わると、これぞ青山さん、という感じなんです。じんわりとあた…

うろ覚え

曖昧上等! 『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』福井県立図書館/編著、講談社図書館で探している本のタイトルが、うろ覚えだったり、ざっくりあいまいだったり。 そんな覚え違いの中から厳選した面白おかしい90タイトルの事例集です。うろ覚えでも大…

見ている世界がすべてじゃない

隣にいること。 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒/著、集英社インターナショナル全盲の白鳥建二さんとアート作品を鑑賞する。 見えない人と見るからこそ、見えてくるもの。川内さんが描くノンフィクション作品の魅力のひとつは、川内さ…

抹茶カフェ

だれもが主人公。 『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子/著、宝島社川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。 定休日の月曜日に1度だけ「抹茶カフェ」を開いたところから、人々のご縁がつながってー。 一杯の抹茶からはじまる、東京と京都をめ…

作家とにゃんこ

ねこと紡ぐ。 『作家と猫』平凡社編集部/編、平凡猫を愛する作家49名の、猫にまつわるエッセイ集。佐野洋子、まど・みちお、向田邦子、夏目漱石、水木しげる…。 おなじみの人から「あら、あなたも?」という意外な人まで、猫にまつわるエピソードが満載です…

従軍記者

伝えたこと、伝えたかったこと。 『清六の戦争 ある従軍記者の軌跡』伊藤絵理子/著、毎日新聞出版太平洋戦争末期、軍属の記者としてペンをとり続けた伊藤清六。 爆撃下の洞窟でガリ版刷りの新聞を作り続けました。 75年後、自らも記者となった著者が、祖先…

みとりねこ

いつまでも一緒に。 『みとりねこ』有川ひろ/著、講談社猫と暮らすこと。 優しくてちょっと切ない7つの物語。どうしたって猫より人間の方が長く生きる。猫の成長の早さを、猫目線から見た人間の子どもの成長の遅さとして描写されると、おかしくてしょうがな…

ヒロシマの港

なぜ広島に原爆が落とされたのか。 『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』堀川惠子/著、講談社広島の軍港・宇品に置かれた、陸軍船舶司令部。 3人の司令官の生きざまを軸に宇品の50年を描き出すノンフィクション。「暁部隊」の名前で親しまれていた陸…

ひとり出版社

思いを届ける仕事。 『ひとり出版社という働きかた』西山雅子/編、河出書房新社港の人、赤々舎、ミシマ社、土曜社、タバブックス… 小出版社を立ち上げた彼らの個性豊かな発想とその道のり、奮闘をリアルに綴る。新たにコロナ後の働きかた、出版記を加えた増…

見えない敵

今、読むべきか、読まざるべきか。 『復活の日』小松左京/著、KADOKAWA生物化学兵器を積んだ小型機が、真冬のアルプス山中に墜落した。 感染後5時間でハツカネズミの98%を死滅させる新種の細菌は、摂氏5度で異常な増殖をみせ、春の雪解けと共に爆発的な勢…

ことばは変わる

辞書にも性格がある。 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』佐々木健一/著、文藝春秋元は1冊の辞典を共に作ってきた二人は、なぜ決別したのか。 辞書作りの裏側に迫ったドキュメンタリー。 『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』、どちらも三省堂…

猫おこま

恐るべし猫のネットワーク。 『国芳猫草紙 おひなとおこま』森川楓子/著、宝島社人気浮世絵師・歌川国芳の一人娘が誘拐された。 さらわれた先のお屋敷では奥方の首なし死体が見つかり…。 子守兼弟子のおひなは猫のおこまとともに、“猫の網”からの情報を頼り…

パリで生きる

この場所で。 『パリでメシを食う。』川内有緒/著、幻冬舎パリに住み働く10人の日本人の生き方。 丁寧な取材をもとに綴られたルポルタージュです。海外の地で職を得て暮らしていくことは、きっと想像以上に生きる力の強さが必要だ。料理人、漫画喫茶の店主…

幻の映画

フィルムを捜して。 『映画探偵 失われた戦前日本映画を捜して』高槻真樹/著、河出書房新社いつのまにか消えてなくなってしまった、戦前日本映画の名作たち。 それら失われた映画に心奪われ、フィルムを捜した映画探偵たちを追いかけたドキュメント。戦前の…

踊る踊る

猫もしゃくしも。 『踊る猫』折口真喜子/著、光文社画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした、不思議な9つの物語。読書記録をつけているのですが、数年前にこの『踊る猫』を読んだことになっていて、でもどんな内容だったのか記憶がなく、本当に読んだのかピンと…

映画探偵

幻の映画はいずこ。 『チョコレートガール探偵譚』吉田篤弘/著、平凡社巨匠・成瀬巳喜男監督の映画「チョコレート・ガール」をひょんなことから追うことになった、作り話のような本当の話。フィルムは残ってないだろうと、早い段階で映像を探すことは諦め、…

百年の継続

必要だから作る、ただそれだけ。 『100年かけてやる仕事 中世ラテン語の辞書を編む』小倉孝保/著、プレジデント社2013年、イギリスで『中世ラテン語辞書』が100年以上の年月をかけて完成した。 採算度外視ですすめられた辞書作りプロジェクトを追ったノンフ…

ぐるぐる

ナイスうずまき! 『鎌倉うずまき案内所』青山美智子/著、宝島社悩める人々が迷い込む「鎌倉うずまき案内所」。 そこは双子のおじいさんとアンモナイトがいる不思議な場所。6年ごとに遡りながら、少しずつ繋がっている物語。 人々は「案内」をきっかけにそ…

烏外伝

垣間見る。 『烏百花 白百合の章』阿部智里/著、文藝春秋八咫烏シリーズ人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。 本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。本編も第2章がはじまったばかりで続きがとっても気になるのですが、そ…

美賀子

女の幕末。 『正妻 慶喜と美賀子』林真理子/著、講談社一条家から一橋慶喜のもとへ嫁いだ美しき姫、美賀子の目線で描いた幕末大河小説。NHK大河ドラマ「青天を衝け」で、登場シーンは少ないもののとても印象深く、気になっていた美賀君。本を探してみたら、…

砂漠の旅

ラクダとともに。 『水と礫』藤原無雨/著、河出書房新社東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へと戻ったクザーノは、砂漠のむこうの幻の町へ旅立ったー。第57回文藝賞受賞作。1、2、3と何度も反復して描写される世界。少しずつ矛盾をはらみなが…

旅をする本

無人本屋くらんなかさんで購入した本の話です。その前に、くらんなかさんのことを少し。くらんなかさんの本は、ほとんどが寄付で集まった本だそうです。お店の前には「寄付本はこちらに」という箱があり、誰でもいつでも本を寄付することができます。不要に…

にゃんにゃんにゃん

猫の下僕化計画。 『NNN(ねこねこネットワーク)からの使者 猫だけが知っている』矢崎存美/著、角川春樹事務所今日もミケさんたちは、猫好きな誰かのことをじっと見ている? 猫と人間の出会いを描いた5つのお話。「NNN」ねこねこネットワーク。 すべての人…

太陽の奇跡

いつも一緒に。 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ/著、早川書房AIロボットと病弱な少女の物語。舞台はいつか訪れる未来なのか、架空の世界なのか。 どこか無機質な雰囲気がこの地球上のことではないようにも感じられます。なんというか、不穏。人々の…

鳥と草木と

そこにいるかのよう。 『草木鳥鳥文様』梨木香歩/文、ユカワアツコ/絵、長島有里枝/写真、福音館書店梨木香歩による、四季の野鳥と植物をめぐるエッセイ集。画家・ユカワアツコさんが鳥の絵を描いているのは、古い「引き出し」の底。 その「引き出し」を…