ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(一般)

地名謎解き散歩

ネコオドル開店記念で、ネコオドルで出会える本の紹介。 今日は埼玉本。 『埼玉地名ぶらり詠み歩き』沖ななも/著、さきたま出版会地名にまつわるエッセイ。 学術的な解説ではなく、「へえー」と関心しながらさらりと読めるのがポイントです。寄居町にも変わ…

糸で紡ぐ物語

糸の彩り。 『刺繍小説』神尾茉利/著、扶桑社物語のなかに登場する刺繍するシーン。 そこから妄想をふくらませて作り上げた刺繍作品は、物語の世界を鮮やかに彩ります。1年くらい前に読んだ群ようこさんの『れんげ荘』にも刺繍のシーンが登場するのですが、…

着物で散歩

ネコオドルで出会える本の紹介。 2回目の今日は郷土本。 『埼玉きもの散歩 絹の記憶と手仕事を訪ねて』藤井美登利/著、さきたま出版会「着物」をテーマに埼玉をめぐる旅。 染織や織物など、埼玉各地の着物にまつわる手仕事の現場を豊富な写真で見ることがで…

ナリワイ

どのように生きるか。 『ナリワイをつくる』伊藤洋志/著、筑摩書房副題は「人生を盗まれない働き方」。働くことと生きること。仕事とプライベートの両立を謳うことはもう時代遅れだと、誰かが言っていました。ワークライフバランスではなく、ワークアズライ…

ズルい詩集

ゆるくとらえてはなさない。 『わたしたちの猫』文月悠光/著、ナナロク社ナナロク社の本はずるいと思うのです。 装丁も、紙も、帯の文章も、手触りも。 すべてがずるい。 手に取らずにはいられない。 そんな本をつくるナナロク社さんの本が大好きです。詩集…

イワナミ少年

子どものための特別な本。 『本へのとびら ー岩波少年文庫を語る』宮崎駿/著、岩波書店Twitterで岩波少年文庫が盛り上がっているので、この本をご紹介せずにはいられません。 この本では、宮崎駿さんが選んだ岩波少年文庫50冊が紹介されています。スタジ…

ピースの意味

地元が舞台。 『ピース』樋口有介/著、中央公論新社埼玉県の長瀞町と寄居町で、連続してバラバラ殺人事件が発生した。 事件の裏側に潜むものとはー。ネコオドルがある寄居町が舞台になっているミステリー小説。 あまりミステリーは読まないのですが、これは…

オマージュ

文学に触れるきっかけに。 『新釈走れメロス 他四篇 』森見登美彦/著、KADOKAWA日本の文学作品5編が、森見節で現代の京都によみがえります。 「山月記」「走れメロス」「桜の森の満開の下」など、教科書でもおなじみの名作ばかり。月に1回の読書会で名作文…

クロネコの人

クロネコヤマトの生みの親。 『小倉昌男 祈りと経営』森健/著、小学館2005年6月に亡くなったヤマト運輸元社長・小倉昌男。「宅急便」の生みの親である名経営者は、現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設し、障害者福祉に晩年を捧げた。語…

猫と散歩

私の中の猫。 『猫の目散歩』浅生ハルミン/著、中央公論新社ハルミンさんが、自分の中にいる猫と対話しながら、都内スポットを案内してくれます。猫と出会える場所や、美味しそうなお店や。時々あらわれる、ハルミンさんの中の猫目線。私は自分の中に猫はい…

鏡の向こう側

童話の狼。 『かがみの孤城』辻村深月/著、ポプラ社学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めたー。遅ればせながら読んでみました。 中学生の、居心地の悪さとか、生きづらい感じとかが、リアルに伝わって…

魔法の水

信じるということ。 『星の子』今村夏子/著、朝日新聞出版生まれながら病弱だったちひろを救うため、両親はあらゆる治療を試みる。 ある時、父が同僚からすすめられた「金星のめぐみ」という水を使うと、ちひろは回復した。 やがて両親は「あやしい宗教」に…

いただきます

食すように読む。 『食卓一期一会』長田弘/著、角川春樹事務所美味しそうな詩。 食べものの詩66篇を召し上がれ。まず表紙が素敵です。 めくる前に思わず「いただきます」と言いたくなってしまいます。そして詩を堪能。美味しそうなにおいや、食材の色彩が…

17歳の物語

猫も登場します。 『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織/著、朝日新聞社17歳。 ちょっと裕福な家庭で育った、私立の女子高に通う女子高校生たち。 彼女たちの、少しずつ重なりあう6つの短編集です。江國香織さんの描く少女たちは、とても魅力的…

本屋のドラマ

行ってみたい本屋です。 『燃えよ、あんず』藤谷治/著、小学館フィクショネスという、下北沢に実在していた本屋さんのお話。著者の藤谷治さんのお店です。私は行ったことがなかったのですが、フィクショネスに実際に行ったことがある人が、この本を教えてく…

もののけ

いるのか、いないのか。『逢魔が時に会いましょう』荻原浩/著、集英社民俗学者・布目准教授の助手としてフィールドワークに行くことになった大学4年のマヤ。 座敷わらし、河童、天狗。 目撃情報ははたして本物なのか。 イケメンだけど変わり者の准教授と女…

鬼と井戸と

大好きな1冊。 『鬼の橋』伊藤遊/作、太田大八/画、福音館書店平安時代の京の都。 歴史上の人物、小野篁の少年時代をモチーフにした物語です。少年篁は、ある日、妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込みます。 そこではすでに死んだはずの征夷大将…

姉妹と兄妹

隣の姉妹と、うちの兄妹。 『となりの姉妹』長野まゆみ/著、講談社まず、この本の装丁について語らせてください。 淡い色彩の装丁画は美しく、見返しもとても凝っています。 そして特記すべきは、紙。 薄い透かし模様のある紙が使われているんです。 綴じの…

少女の冒険

15歳のアラビアンナイト。 『これは王国のかぎ』荻原規子/著、KADOKAWA失恋した15歳の誕生日、ひろみは目が覚めたらアラビアンナイトの世界に飛び込んでいた!異世界に迷い込んだ少女の冒険物語。 本当におもしろくてワクワクしながら読んだ思い出がありま…

ことり

気が強くてしっかり者。 『ぼくの小鳥ちゃん』江國香織/著、新潮社雪の朝、ぼくの部屋に迷い込んできた小鳥ちゃんと、ぼくと彼女の物語。ちょっとワガママな小鳥ちゃん。 ラム酒のかかったアイスクリームが好きだったり、ぼくのガールフレンドにやきもちを…

十二の国

強さと賢さ。 『図南の翼』小野不由美/著、新潮社十二国記を夢中で読んでいます。 もうすぐシリーズを読み終えてしまいそうで、ロスになりそう。『図南の翼』は、シリーズ6作目。 表紙を見たらわかるように、気の強い女の子が主人公。 先王がたおれて27年、…

神様の物語

この本を知っている人に出会いたい。 『ヤマトタケル』氷室冴子/著、森田じみい/絵、集英社ヤマトタケルの物語を、色鮮やかな絵と共に。小学生の頃にはじめて出会った氷室作品は『なんて素敵にジャパネスク!』で、山内直美さんの漫画とあわせて読んでいま…

愛情のリレー

『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ/著、文藝春秋そこそこ性格がひねくれている私は、本屋大賞とか直木賞とか芥川賞とか「受賞したから読もう」とはならず、どちらかというと「受賞したんだからいい本に決まってるし、私が読まなくても大丈夫でしょ」…

一緒に食事を

おいしいお酒を。 『センセイの鞄』川上弘美/著、文藝春秋駅前の居酒屋で高校の恩師の先生と、十数年ぶりに再会したツキコさん。肴をつつき、酒をたしなみ、ゆったりとした2人の時間は流れていきます。 40歳目前の女性と、30と少し年の離れたセンセイの、切…

社会のかけら

とらえどころのないものたち。 『断片的なものの社会学』岸政彦/著、朝日出版社社会学者とは、いったいどんなことをしている人たちなんだろう。テレビで過激な発言をしている人も、大学のあの人も、社会学者だという人はよく見かけるけどその中身をよく知ら…

夢のタッグ

あなたはだあれ? 『こうちゃん』須賀敦子/文、酒井駒子/画、河出書房新社本屋さんで偶然見つけるまで、須賀敦子さんがこんな物語を残していたとは知りませんでした。 須賀さんの洗練された文章と、酒井駒子さんの透き通るような優しい絵。 小さい子どもへ…

お茶してかない?

ナンパの手口じゃないです。 『「うちでお茶する?」のコツ100』三宅貴男/著、雷鳥社タイトルがよくて、手に取りました。 「うちでお茶する?」 最近じゃなかなか言わないし、聞かなくなりました。この本にはコーヒー、紅茶、ハーブティー、日本茶、中国…

橋をめぐる

橋をめぐる。 『いつかのきみへ』橋本紡/著、文藝春秋東京の深川にかかる6つの橋をめぐる、6つの短編集。それぞれ何かに悩み、人生につまづいた人々。 橋を渡り、人々と出会い、少しずつ世界が動き出すような物語です。私の生まれ育った家はすぐ近くに橋が…

はじまりの物語

ホラーとファンタジー。 『魔性の子』小野不由美/著、新潮社日本のファンタジーが好きだと話すと、「十二国記いいですよね!」とかなりの確率で言われます。もちろん読んでるでしょ、のノリです。あぁ、読んでないんです…。私が十二国記シリーズを読んでい…

みんな猫である

名前もまだない? 『吾輩も猫である』新潮社猫の視点で書かれる物語といえば、夏目漱石の『吾輩は猫である』ですよね。 これは、猫好き作家8名が漱石の「猫」に挑む、猫のアンソロジー。 猫好きにはたまりません。それぞれの作家がそれぞれの作風で描く猫の…