ひとり出版社
思いを届ける仕事。
『ひとり出版社という働きかた』西山雅子/編、河出書房新社
港の人、赤々舎、ミシマ社、土曜社、タバブックス…
小出版社を立ち上げた彼らの個性豊かな発想とその道のり、奮闘をリアルに綴る。
新たにコロナ後の働きかた、出版記を加えた増補改訂版です。
2015年に出版された初版が買えなくなっていたのでずっと残念に思っていたのですが、内容が更に充実した増補改訂版が発売されたので本当に嬉しいです。
私の本棚からこの本を見つけて読んだ母が、「おじいちゃんもこんな感じだったのかな」とつぶやきました。
母の一言にハッとしました。
私の祖父は、友人と3人で出版社を立ち上げたのです。
1940年頃のことです。
ほとんど記録が残っていないのですが、戦時下の企業整備によって廃業になる1944年までに、学術書を中心に多くの本を出版していました。
そういう視点でこの本を読んでいなかったので、母の一言でこの本に対する感じ方が大きく変わった気がします。
今私は、作家であり出版社の代表もつとめた祖父の足跡を追う調査をしています。
そんな「今の私」に、祖父の内面を理解するために必要な本として、あらわれてくれたのでしょうか。
自分がひとり出版社をはじめることは今のところ考えていないけれど、祖父と近しい本と思ったら、より一層興味深い本になりました。
祖父に一歩近づけたでしょうか。