ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

湿地の少女

沼にはまる。

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『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ/著、友廣純/訳、早川書房

ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。
人々は「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。
6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 

湿地の小屋でたったひとり生きるカイアの孤独。

でも自分は本当の意味での孤独ではないと、カイアは知っていたのかもしれない。

読んでいる間、ずっとぬかるみに足を取られているかのような感覚でした。
もどかしく、時に絶望しながら。

著者のディーリア・オーエンズは動物学者で、アイダホ州に住みグリズリーやオオカミの保護、湿地の保全活動を行なっているそうです。
驚くことに、この物語は69歳で執筆した初めての小説とのこと。

これほどまでに祈りながらページをめくり、そして呆気にとられた本はなかった。
本当に面白かったのです。