ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫5匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(一般)

週末は猫

島といえば、猫。 『週末島旅』小林希/著、幻冬舎世界中を旅する作家・小林希さんによる、日本の島旅エッセイ。旅に出ることがむずかしい今だから、旅にまつわる本を読みたくなる。 小林希さんは、『日本の猫宿』『世界の美しい街の美しいネコ』など、猫と…

本と旅する

本と旅は相性がいい。 『本とあるく旅』森まゆみ/著、産業編集センター旅先での本をめぐる断想を綴ったエッセイ集。名作の舞台や作家の故郷をめぐり、旅先での思いかげない本との出会いを楽しむ。名作の舞台をめぐる、と言えば、近頃は聖地巡礼といわれるア…

たちどまる

裏表紙のアマビエが美しい。 『たちどまって考える』ヤマザキマリ/著、中央公論新社パンデミックを前にあらゆるものが停滞し動きを止めた世界。 イタリア、キューバ、ブラジル、アメリカと、世界を渡り歩いてきた漫画家・ヤマザキマリさんが、たちどまって…

図書室

奇跡のレファレンス。 『お探し物は図書室まで』青山美智子/著、ポプラ社人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。 彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。お話のな…

オオカミ

オオカミの護符に護られながら。 『オオカミの護符』小倉美惠子/著、新潮社川崎市の実家の土蔵で目にした一枚の護符。 描かれた「オイヌさま」の正体とは何か。 関東甲信の山々へ、護符をめぐる謎解きの旅が始まる。狼にはなぜか昔から惹かれます。 オオカ…

ブラジルの光と闇

ナーダとは「なんにもない」という意味。 『ナーダという名の少女』角野栄子/著、KADOKAWAブラジルのリオ・デ・ジャネイロで日本人の父と暮らす15歳のアリコ。 ある日、ナーダという名の不思議な少女と出会う。ブラジルが舞台の小説を読むのははじめてだと…

図書館の人

本の探偵。 『司書のお仕事 お探しの本は何ですか?』大橋崇行/著、小曽川真貴/監修、勉誠出版司書という仕事に興味を持っている人に向けて、司書の仕事を物語形式でわかりやすく伝える1冊。最近2巻目が出版された『司書のお仕事』。 まだ読んでいなかった…

自分だけの服

気張らず、気取らず、自分らしく。 『服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり』行司千絵/著、岩波書店自分や母や頼まれた相手のために、この世に1枚の服を縫う。 洋裁は独学だから、商売はせず、あくまで目の前の人のために。 自分を取りまく服とおしゃれの…

ふたりの巨人

世界を船に乗せて。 『空をゆく巨人』川内有緒/著、集英社福島県いわき市の生まれながらの商売人、志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。 1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきたふたりの「巨人」の実話。と…

社史をつくる

これだって立派な「本を編む」なのだ。 『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん/著、筑摩書房社史編纂室で働く幸代は、それなりに働き、仲間と趣味の同人誌づくりに精を出す。 しかし、社の秘密に気づいてしまったことで社史作りも同人誌づくりも思わぬ…

ココアの日

あたたかいココアをどうぞ。 『木曜日にはココアを』青山美智子/著、宝島社川沿いの桜並木のそばに佇む小さな喫茶店「マーブル・カフェ」。 そのカフェで出された一杯のココアから始まる12編の連作短編集。喫茶店の話なのかと思っていたら、それは第1話の舞…

本を守る

本の力を。 『本を守ろうとする猫の話』夏川草介/著、小学館主人公は、高校生の夏木林太郎。 一緒に暮らしていた祖父が突然亡くなり、祖父が営んでいた古書店『夏木書店』をたたむことになる。 そんな時、書棚の奥に人間の言葉を話すトラネコが現れ、本を守…

アラスカ

アラスカに見た夢。 『アラスカの詩 夢を追う人』星野道夫/著、新日本出版社星野道夫さんの著作『旅をする木』や『長い旅の途上』から抜粋した11編を、写真と共に若い人に向けて組み直した本。ルビがふられていて文字も少し大きめで、図書館では児童書に分…

とりつく

生きているモノ以外でお願いします。 『とりつくしま』東直子/著、筑摩書房この世に未練を残して死んだ人の前に現れる「とりつくしま係」。 愛しい人のそばへ、モノになって戻ることを選んだ人たちを描いた短編集。何になりたいですか? そう問われて、私な…

あなたの海

青く澄んだ生命の海。 『海をあげる』上間陽子/著、筑摩書房年若い母親に寄り添い耳を傾ける。 愛しい娘の成長を感じる。 沖縄の人が生きている中で直面している問題をまっすぐに見つめる。 体の奥底からあふれでる言葉の力を感じるエッセイ集。『裸足で逃…

あたりまえ

生きにくい世の中だけど。 『クマのあたりまえ』魚住直子/著、植田真/絵、ポプラ社「生きること」を考えさせる、動物たちが主人公の9つの物語。「死んだように生きるのは、意味がないと思ったんだ」 子グマのこの言葉が印象的です。本のタイトルになってい…

送る

すべて自由だ。 『晴れたら空に骨まいて』川内有緒/著、ポプラ社亡くした大切な人の、それぞれの弔い方。 故人と残された人の出会いから思い出の日々、見送りの時、そしてその後。 丁寧に取材して綴られた、5組が見つめた「生と死」の物語。『バウルを探し…

ザ・ミステリー

想像以上の想定外。 『屍人荘の殺人』今村昌弘/著、東京創元社いわくつきの映画研究部の夏合宿に加わるために訪れたペンション紫湛荘。 そこに起こった想像し得なかった事態により立て籠もることになった主人公達。 そこで連続殺人が発生し…。第27回鮎川哲…

バウルの歌

自分の心に。 『バウルを探して 完全版』川内有緒/著、中川彰/写真、三輪舎ベンガル地方で歌い継がれ、今日も誰かが口すざむバウルの歌。 なぜ数百年もの間、口頭伝承され歌い継がれているのか、その謎と本質に迫ったノンフィクション。2013年に幻冬舎から…

かわいい私

わたしをつくるもの。 『わたしもかわいく生まれたかったな』川村エミコ/著、集英社ちょっと生きづらく、でもどこかほっこりするような日々。 お笑いコンビ「たんぽぽ」の川村エミコさん初のエッセイ集。まずは、共感しかない、このタイトル。 多くの女性は…

生命

寄りそう詩。 『生命は 吉野弘詩集』吉野弘/著、リベラル社吉野弘さんの詩集。埼玉にも縁のある詩人、吉野弘さん。 吉野弘さんの娘さんが営む雑貨店が本庄市にあります。 この詩集にも掲載されている代表作のひとつ「奈々子に」の、奈々子さんのお店です。…

いろんな猫

一瞬を切り取って。 『フェルトと刺繍のいろんな猫』ahoy embroidery/著、講談社なにげない猫の表情やしぐさ。 55匹の猫をフェルト刺繍や全面刺繍で表現しました。表紙がいい。 エリザベスカラーをして、ちょっとふてくされた猫。本の中にも、「よくまあこ…

猫との約束

猫と人間の物語。 『約束の猫』村山早紀/著、げみ/イラスト、立東舎4つの、猫にまつわる短編集。 きれいなイラストがやさしく寄り添い、物語を彩ります。村山早紀とげみのコラボ3作目。捨てられていた白い子猫のエピソードが多いのは、村山さんの経験なの…

レモンの島で

思い出のおやつ。 『ライオンのおやつ』小川糸/著、ポプラ社若くして余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。 そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があ…

罪の声

子どもの声。 『罪の声』塩田武士、講談社自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。 それは日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。 昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編。映画がすばらしく…

水の祈り

水を巡る。 『水の巡礼』田口ランディ/著、角川書店土地と水と人との不思議を探す旅。 天河、渋谷地下の川、屋久島…。 十の聖地を巡り水を追う、スピリチュアルエッセイ。本を読む人が一度は通る道に「田口ランディ」がある。 と、最近思うことがあって、そ…

お別れ

無事に彼方へ。 『永遠のおでかけ』益田ミリ/著、毎日新聞出版大切な人の死。 かなしみと、その先にある生活を静かに綴ったエッセイ。身近な人との死別、それは避けては通れないことです。 誰よりも先に死んでしまうことの不孝を思うと、大切な人の永遠のお…

雪ふる校舎

思い出して。 『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月/著、講談社ある雪の日、男女8人の高校生が学校に閉じこめられた。 開かない扉、5時53分で止った時計。 8人は2ヵ月前に自殺したクラスメートのことを思い出すが、その顔と名前がわからない。 どうして忘れ…

ペンギン

ファンタジーの境界線。 『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦/著、KADOKAWA小学4年生のぼくが住む郊外の町に、突然ペンギンたちが現れた。 この事件には歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっているみたいだ。 謎を研究するぼくの極上のファンタジー物語…

寄り添う本

そこにある。 『病と障害と、傍らにあった本。』里山社12人の当事者、介護者による、本と病と障害と、生きることにまつわる書き下ろしエッセイ集。同じ病や障害でも、人の数だけ症状があり、思いがある。 決してひとくくりにできないそれらを「傍らにあった…