ぐるぐる
ナイスうずまき!
『鎌倉うずまき案内所』青山美智子/著、宝島社
悩める人々が迷い込む「鎌倉うずまき案内所」。
そこは双子のおじいさんとアンモナイトがいる不思議な場所。
6年ごとに遡りながら、少しずつ繋がっている物語。
人々は「案内」をきっかけにそれぞれの気づきを得て、ちょっとずつ前進していきます。
青山さんの優しさ全開の物語。
世界は少しずつ繋がっていて、小さなきっかけを元に自分自身で「気づくこと」ができる。
パターン化された設定が繰り返される安心感は、水戸黄門のドラマのようです。
でも、パターン化されていても、その時の主人公によって見えるもの、感じることはそれぞれに違っていて、その描写のささやかな違いの細やかさがとてもいい。
ダジャレも同じだな、と思ったり。
双子のおじいさんが繰り出すダジャレも、いつものおやじの安定感から、コトダマへと繋がっていく。
青山さんが描く登場人物たちは、いつもとても愛おしい。
心の動き手に取るように伝わってきて、無理も無駄もない自然な流れのままに一緒に悩み、苦しみ、喜び、いつのまにか自分も前向きになっていく。
なんでこんなに的確に私の心のうちを捉えてくれるんだろう、と青山さんの作品の虜になっています。
読むセラピー。
心にビタミンを欲している人に教えてあげたい物語です。