ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

借りたら返す

約束。

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『古文書返却の旅』網野善彦/著、中央公論新社

戦後の混乱期、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を夢見る壮大な計画のもと、全国から大量の文書が借用された。
しかし、事業は打ち切りとなってしまい、大量の未返却の文書が残されてしまった。
後始末を託された著者の、古文書返却の旅。

森まゆみさんの『本とあるく旅』でこの本を知りました。

借りた古文書を何十年も返してないなんて!

そんなことがあるのかと強く興味をひかれて、この本を手に取りました。

網野さん自ら「失敗史」と言っているようにあまり誉められたことではないですが、律儀に頭を下げてまわった返却行脚はそれだけに終わらず、新たに得るものも大きかったようです。

借りたものは返す。

そんな当たり前のこともままならなくなるほど、社会全体が混乱し激動していた時代の空気に触れることができる、貴重な記録です。