ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

見えない敵

今、読むべきか、読まざるべきか。

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復活の日小松左京/著、KADOKAWA

生物化学兵器を積んだ小型機が、真冬のアルプス山中に墜落した。
感染後5時間でハツカネズミの98%を死滅させる新種の細菌は、摂氏5度で異常な増殖をみせ、春の雪解けと共に爆発的な勢いで世界各地を襲い始める。
人類はなすすべもなく滅亡する。
南極に1万人たらずの人々を残して。

1964年に発表された作品。
このコロナ禍で、カミュ『ペスト』と並んで再注目を集めていますね。

原因の究明も追いつかず、絶望的な早さで広がり続けるウイルス感染。
ただただ恐怖です。

映画にもなっているんですね。
この状況下で見たら絶望的な気分になりそうですが、テレビ放送したら、長く続くコロナ対策に飽いて緩みだしている人々にちょっとは刺激になるのではないですかね。

復活の日』には、設定を2009年に置き換えて新井リュウジさんがリライトしたジュニア向けもあり、こちらもあわせて読みました。

女性に関する部分が書き換えられ、全体的に描写が柔らかく易しくなっているので、小松左京復活の日』がとっつきにくく読めていないという人には、こちらをおすすめします。

私は原作→ジュニア版の順番で間髪明けずに読み、難解だった部分を大きく包んで要約してくれた感じでした。
昭和の男目線の部分がなくなっている分、ジュニアだけでなく女性にも読みやすく受入れやすいと思います。

強いメッセージ性を持った作品、読むなら今です。