賢治の愛
時代の波に消された恋。
『宮澤賢治 愛のうた』澤口たまみ/著、夕書房
賢治には恋人がいた。
生涯独身だったことから、その恋心は妹トシや親友に向けられたと解釈され「聖人」と呼ばれることの多い宮澤賢治。
私は、賢治には結婚を考えるような恋人がいたことに、なんだか安心しました。
叶わなかった恋であったとしても、一時は相思相愛だったということにも。
『春と修羅』や「やまなし」など、賢治の恋心が隠されている作品、隠すどころかそのまま表現されている作品もあるんですね。
もう、そう言われてしまえばそうとしか読めないくらいストレートな「シグナルとシグナレス」とか。
宮沢賢治は好きだけどそこまで深く読み込めていない私のような人って、結構多くいると思うのですが(私だけかな)、こういった背景を知ってから作品を読むと、より一層賢治の世界を楽しめるかもしれません。
恋をしていた人間・宮沢賢治。
魅力度が増しました。