冴子さんの日常
東京ライフ。
長電話魔の冴子さんは、莫大な長距離電話代を浮かすため、生まれ育った北海道から東京へ引越しをすることに。
1987年に書かれた、氷室冴子等身大のエッセイ。
最近古本屋さんで見つけて、思わず手にしてしまった未読の思い出本。
出版された当時、私はまだ子どもで、大人の女性の東京暮らしエッセイなんて面白みがまだわからず、氷室冴子さんの小説は片っ端から読んでいたけれど、これは読めていなかったのでした。
携帯電話はもちろん子機もないから、コードをひっぱって歩き回っていた時代。
通話すればするだけ電話代がかかる時代。
それでも何時間も長電話して稼ぎのほとんどを電話代につぎ込んでいた冴子さんに今の時代を教えたら、どんなにうらやましがるでしょう。
通話し放題、リモート飲み、今当たり前にできることのどれもこれもが、冴子さんを喜ばせるに違いない。
これを書いていた冴子さんは、今の私よりも年下。
描かれている暮らしは、まぎれもない昭和の世界。
いろんな意味で懐かしさあふれる1冊でした。
それにしても、やっぱり氷室冴子さんの書くものはおもしろい。
他のエッセイも探して読みたくなりました。