ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

赤革の手帳

愛は盲目。

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『赤いモレスキンの女』アントワーヌ・ローラン/著、吉田洋之/訳、新潮社

ある日パリの書店主が拾ったバッグには、赤いモレスキンの手帳とモディリアノのサイン本が入っていた。
手帳に綴られた不思議な文章に惹かれた男は、バッグの持ち主を探し始める。

このあらすじと「大人のためのおとぎ話」という謳い文句から、なんとなく結末に察しがつくのではないでしょうか。
ええ、察しがついた上で読んだのです、私も。

それを前提としても、この物語は、私にはホラーでしかなかった…。

拾ったバッグを一度は警察に届けようとするも、あまりの混雑に翌日行くことに決めたところまではいい。
ああ、拾得物を警察に届けようとする誠実な人なんだとわかって、まず安心できたから。
でも、自宅でバッグの中身を事細かに調べだしたあたりから、背中がゾワゾワ…。
手帳の中身を読み、その人に会ってみたくなり、自分でバッグの持ち主を探そうと決意する。
この時点で私にはギリギリアウトです。

その後の行動のことごとくが、怖いったらありゃしない。

この本を読んでロマンティックだと感じるのは、もしかしたら男性の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
女性の読者は、バッグの持ち主と自分を重ね合わせて読んだら、気持ち悪っ!ってなりませんか?

運命の人になるか変質者になるかは、相手の受け取り方次第ということでしょうか。
ストーカーだって相手に受入れられれば愛情深い恋人ですしね。

私は「大人のためのおとぎ話」第1弾の『ミッテランの帽子』を読んでいないので、こちらを先に読んだ方がよかったのかもしれません。

アントワーヌ・ローランの世界観、私には上級者向けすぎだったようです。