猫魂
命はすべて等しい。
『猫だましい』ハルノ宵子 /著、幻冬舎
自身の闘病、両親の介護と看取り、猫たちとの出会いと看病そして別れ。
すべて等しく「生命」について綴ったエッセイ。
漫画家・エッセイストである著者は、吉本隆明の長女であり、よしもとばななのお姉さん。
吉本隆明も愛猫家としてよく知られていますが、その魂を受け継いだハルノさんの愛猫ぶりもまた尊敬に値するレベルです。
猫の命を愛している。
とはいえ、この本の半分は人間の話です。
ハルノさん自身の闘病記は、かなりヘビィ。
なのにユーモアあふれる筆致と楽天的思考で、かなり面白い。
病気、特にがんを怖れる人はとても多いと思いますが、これを読むと、闇雲に怖れることがちょっとバカらしく思えてくるかもしれません。
この先の人生、もし私ががんと宣告されたら。
その時は目の前が真っ白になるかもしれないけど、でもこの本のハルノさんの楽天的思考を思い出して、私も「めんどくさいなーでもしかたない」くらいの気持ちで病気と闘えたらいいな。
猫の命も人間の命も対等に愛している。
そんなハルノさんに惚れてしまいました。