戦争と猫
戦争の愚かさを。
『シリアで猫を救う』アラー・アルジャリール/著、ダイアナ・ダーク/著、大塚敦子/訳、講談社
内戦下のシリアで、人や動物を助ける活動を続けるアラー・アルジャリールの記録。
子どもの頃から消防士や救急車の運転手になるのが夢だったアラー・アルジャリールは、内戦がはじまると、自分のミニバンを救急車にしたてて人々を救う活動をはじめた。
夢を叶える後押しが戦争でいいはずがない。
なんてかなしいことだろうと胸が痛みます。
救急車を走らせる日々のなかで、住民が避難したあとに取り残された猫たちの保護を始めたその行動は、命の重みを知る彼にはきっとなんの矛盾もためらいもなかったのだろうと想像します。
「猫を救う」ということは、やがて世界中の人々を動かし、猫サンクチュアリの創設につながっていく。
そして「猫を救う」ことは人を救うことにもつながっていく。
遠い過去の話ではないのです。
こんなに悲惨な現実が、海の向こうでは今も起きている。
この本を手にするのが猫きっかけでもいい。
読んでそして知ってほしい。
戦争の愚かさを痛切に訴えかけてくるノンフィクションです。