ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

小さな出版社

小さいけど、大きい!


『日本でいちばん小さな出版社』佃由美子/著、晶文社

ある日突然、出版社になってしまった著者の奮闘を綴った体験記。

この本、装幀やタイトルから勝手にイメージしていたのとは、ぜんぜん違いました。
なんとなく、穏やかで和やかにコツコツと、のんびりと本を作る人のイメージだったのです。
でも、もっとちゃきちゃきの、ビジネスとしての出版社、裏話満載の本でしたよ、これ。

入り口が「大手取次の口座」ってところがすごい。
社員1人だけの小さな出版社といいつつ、やってのけていることが桁違いなのです。

出版業界のことは何も知らない状態ではじめた出版社。
企画から原稿書き、編集、制作、装丁をこなし本を作り、取次への納品に、書店営業、そして経理もやる。
「本を作りたい」から始めたわけじゃないのに、出版社になったのだからやらなければ、との思いでこれだけやってのけてしまうのだから、バイタリティが半端ない。

それにしても、取次って…と、考えてしまいました。
大手取次の口座を持つということは、書店だけでなく、出版社にとっても乗り越えるのが難しい壁なのですね。

出版業界の裏側をのぞき見るような、とても興味深い本。
2007年の本なので、今は状況が変わっている所もあると思いますが、とても勉強になりました。