ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

絵物語ねこまち

ポップに、妖しく。

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猫町萩原朔太郎/著、しきみ/絵、立東舎

萩原朔太郎の「猫町」を美しいイラストとともに。

物語が持つどこか不気味な雰囲気を、可愛らしくも妖しげなイラストで彩った1冊。

不気味さは、増幅されている。
でも、可愛らしくもある。

とても不思議な絵物語に仕上がっていて、この本ではじめて「猫町」を読む人はどんな感想を持つのだろうかと想像してしまいます。

私の初「猫町」は、美しい写真で彩られた本でした。
そこでは本来感じるであろう物語の「不気味さ」が半減されていて、「幻想的」という印象が強く残ったのでした。
もちろん、文章は何一つ変えていないのに。

その後、岩波文庫で読んだときに感じた「怖さ」。
それは幻想的というよりも、底知れない不気味さでした。

美しい写真やイラストは、見えない恐怖や想像を打ち消し、安心を与えてくれるのかもしれません。

人間の想像力の底力を実感するにはもってこいの物語。
それが「猫町」。