絵物語ねこまち
ポップに、妖しく。
物語が持つどこか不気味な雰囲気を、可愛らしくも妖しげなイラストで彩った1冊。
不気味さは、増幅されている。
でも、可愛らしくもある。
とても不思議な絵物語に仕上がっていて、この本ではじめて「猫町」を読む人はどんな感想を持つのだろうかと想像してしまいます。
私の初「猫町」は、美しい写真で彩られた本でした。
そこでは本来感じるであろう物語の「不気味さ」が半減されていて、「幻想的」という印象が強く残ったのでした。
もちろん、文章は何一つ変えていないのに。
その後、岩波文庫で読んだときに感じた「怖さ」。
それは幻想的というよりも、底知れない不気味さでした。
美しい写真やイラストは、見えない恐怖や想像を打ち消し、安心を与えてくれるのかもしれません。
人間の想像力の底力を実感するにはもってこいの物語。
それが「猫町」。