三足の烏
来園か、地獄か。
『楽園の烏』阿部智里/著、文藝春秋
資産家である養父から、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。
その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。
この山には一体、何が隠されているのか?
八咫烏シリーズの第2部が幕を開けました。
猿との大戦が繰り広げられた『弥栄の烏』より20年後の物語。
今までのお話をおさらいするために『弥栄の烏』をパラパラとしていて、最後の一文を読んだとたんに、ブワッといろんなものがよみがえりました。
あの最後の一文、圧倒的です。
私は雪哉が好きでずっと雪哉目線で読んでいます。
なので、いきなりあれから20年後の雪哉が登場して、ちょっと動揺しました。
雪哉ももう中年なのね、と。
そして容赦のないキャラクター変遷。
舞台が何年後だろうと山内だろうと現代の日本だろうと、ぐいぐいと惹きつけて読ませる力は変わりません。
読み終わるのが惜しいと思いながら、一気に読んでしまいました。
私はこれからも雪哉を好きでいられるでしょうか。
今後の展開がとてもとても気になります。
第2部ははじまったばかり。
今、シリーズまるごと読み直したい、またこの世界に入りたいと思う自分がいます。
八咫烏の世界観、大好きです。