うちにおいで
ちょっとずつ、少しずつ。
『うちのねこ』高橋和枝/作、アリス館
野良猫だった猫が、ある日うちへやってきた。
ゆっくりゆっくり「うちのねこ」になるまでのおはなし。
飼い主さんの思い、猫の気持ち。
ゆっくり少しずつとわかっていながらも焦ってしまったり。
頼っていいのかもと思いながらも信じ切れなかったり。
かつて通ってきた道を辿るような気持ちで、大丈夫だよ、ここがあなたの居場所だよ、と、心の中で話かけるように読みました。
この絵本の「ねこ」は高橋和枝さんの愛猫で、坂本千明さんの絵本『ぼくはいしころ』のモデルとなった猫と同猫。
シノビというかっこいい名前の猫さんです。
しっぽの先っぽがトレードマーク。
野良猫が人間と出会うまでを描いた『ぼくはいしころ』、そして家猫になるまでを描いた『うちのねこ』、2冊あわせて読むと感慨深いものがあります。
うちにも、家猫になったけれどいまだ人間に慣れきれない猫がいます。
立っている人間は苦手で逃げ出すし、ご飯時以外はほとんど姿を見せません。
でもなでてもらうのは大好き。
「そっちに行ってもいい?」って、遠くから鳴いて話しかけてきます。
猫にも猫の気持ちがあって、割り切れない事情があるのでしょう。
それでもうちの子になってくれたことの嬉しさ。
うちにきてくれてありがとう。
ちょうどいい距離感で、これからもよろしくね。
猫がとっても愛おしくなる、素敵な猫絵本です。