犬王
窮極の美。
「平家物語」の現代語訳を手がけた古川日出男による、平家物語異聞。
犬王は、同時代を生きた観阿弥、世阿弥とともに三代将軍足利義満の愛顧を受け、二者よりも贔屓にされていたと言われる能楽師ですが、犬王の作品は現在には残されていません。
その死に際しては「紫雲が立った」とも伝えられている謎の多い人物。
盲目の琵琶法師・友魚との友情、呪われた出生など、強烈なエピソード満載で最後まで惹き付けられます。
古川日出男訳の「平家物語」を最近読んだばかりで、この犬王の巻も気になっていたものの読んでいなかったのですが、映画化にあたり野木亜紀子さんが脚本を手がけられると知って、すぐに読みました。
これを映像化するのか?と驚きながら読んでいたら、アニメーション映画だと知って、なるほど、と。
醜く、美しい世界。
アニメでも実写でも、観たい。
古川訳の「平家物語」を読んでからこの本を読むと、物語の世界をより深く味わえると思います。