ふたりの真実
事実と真実。
『流浪の月』凪良ゆう/著、東京創元社
再会すべきではなかったかもしれない。
一緒にいるべきではないのかもしれない。
それでも再会した二人の、運命が動き出す。
本屋大賞に輝いた作品。
正直、なめてました。
すみません。
読む前は、読んで楽しい、すっきり爽快、心潤うエンタメ小説かと思ってたんです。
「誰が読んでもおもしろい」本屋大賞への、偏見でしたすみません。
本屋大賞はどれもおもしろいからこその、愛ある偏見です、本屋大賞大好きです。
なんかすみません。
とても考えさせられるテーマでした。
事実と真実はちがう。
真実は自分だけがわかっていれば十分だと思って、歪められた世界で生きていけるほど、人はそんなに強くないだろう。
だから、たったひとり、真実をわかりあえる人がいてくれたら、それは何があっても守らなくてはいけない存在になるのかもしれない。
ネタバレになるのであまり書けないけど。
人間は、真実よりも、都合のいい事実を好む。
私は、本人のことは、本人が発した言葉より信用できることはないと思っているから、それが歪んだ世界は、本当に信用ならないと思います。
とにかく読んでみてほしい。
難しいテーマだけど、物語はサラサラと読めます。
そして、納得の本屋大賞でした。