ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

2021-01-01から1年間の記事一覧

見えない敵

今、読むべきか、読まざるべきか。 『復活の日』小松左京/著、KADOKAWA生物化学兵器を積んだ小型機が、真冬のアルプス山中に墜落した。 感染後5時間でハツカネズミの98%を死滅させる新種の細菌は、摂氏5度で異常な増殖をみせ、春の雪解けと共に爆発的な勢…

黒猫は本が好き

おすすめ本あります。 『くろねこのほんやさん』シンディ・ウーメ/文・絵、福本友美子/訳、小学館本を読むことが何よりも好きな黒猫。 ある日、とある小さな子どもの本屋さんで働くことになりました。黒猫の本屋さん!「本屋さんと猫」の絵本や児童書はい…

帽子のなか

こだわってます。 『わたしのかみがた』樋勝朋巳/作、ブロンズ新社帽子のなかの髪型は、もしゃもしゃのてっぺんを三つ編みでくるくる囲った、鳥の巣のような髪型です。 どうしてこの髪型をしてるかというとね…。自分らしくあることを大事にする心と、他者へ…

うちにおいで

ちょっとずつ、少しずつ。 『うちのねこ』高橋和枝/作、アリス館野良猫だった猫が、ある日うちへやってきた。 ゆっくりゆっくり「うちのねこ」になるまでのおはなし。飼い主さんの思い、猫の気持ち。ゆっくり少しずつとわかっていながらも焦ってしまったり…

ことばは変わる

辞書にも性格がある。 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』佐々木健一/著、文藝春秋元は1冊の辞典を共に作ってきた二人は、なぜ決別したのか。 辞書作りの裏側に迫ったドキュメンタリー。 『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』、どちらも三省堂…

猫おこま

恐るべし猫のネットワーク。 『国芳猫草紙 おひなとおこま』森川楓子/著、宝島社人気浮世絵師・歌川国芳の一人娘が誘拐された。 さらわれた先のお屋敷では奥方の首なし死体が見つかり…。 子守兼弟子のおひなは猫のおこまとともに、“猫の網”からの情報を頼り…

パリで生きる

この場所で。 『パリでメシを食う。』川内有緒/著、幻冬舎パリに住み働く10人の日本人の生き方。 丁寧な取材をもとに綴られたルポルタージュです。海外の地で職を得て暮らしていくことは、きっと想像以上に生きる力の強さが必要だ。料理人、漫画喫茶の店主…

朝顔

つるをまきまき。 『あさがお』荒井真紀/文・絵、金の星社朝顔の種をまくところから、種の収穫まで。 朝顔の一生を、美しい細密画で描いた絵本です。色使いがとても美しい。朝顔といえば、夏休みの宿題。 これから朝顔を育てる子ども達にも、昔育てたことが…

岩合さんと旅の猫

日本も世界も猫の国。 『岩合光昭×ねこ旅』岩合光昭/著、山と渓谷社日本各地からはじまって、世界各国の猫まで。 写真家・岩合光昭さんが旅先で出会った猫たちの写真集。コロナ禍になってから、岩合さんの猫旅番組も日本を巡っていますね。 以前のように世…

通すべからずの戦い

いつか入れる日まで。 『警備員さんと猫』にごたろ/著、KADOKAWA絶対に入りたい猫vs必死に阻止する警備員さん。 ほっこりする攻防を、漫画と写真で楽しめる1冊。Twitterで見ていた、尾道市立美術館の警備員さんと猫との攻防が本に。こんな侵入者ならいつ…

大丈夫。

魔法のことば。 『あら、そんなの!』高橋和枝/著、偕成社人間のお誕生日パーティーに招待された、のらねこのプー。 うれしいけれど、はじめてのことで、どうしたらいいのかわかりません。 そこで、ともだちのたまみさんに相談したら、たまみさんは素敵な提…

100%と言いたい

心の中では100%。 『99.9%猫が好き!』竹内薫/文、古瀬恵一/写真、小学館猫好き科学作家、初の猫溺愛エッセイ。現在飼っている6匹の猫たちへの愛を語りつつ、初めての猫体験の話をしたり、猫の回転について物理学的に解説したり、物理学者ならではの切り…

はちみつ色の幸せ

ビスク先輩からばびぶーまで。 『ハニオ日記』石田ゆり子/著、扶桑社女優の石田ゆり子さんがInstagramで綴ってきた、ハニオ日記。 2016年から現在までのゆり子さんと犬猫たちの暮らしの美しい記録集。愛猫ハニオ目線のとってもユニークな投稿。 いつも楽し…

幻の映画

フィルムを捜して。 『映画探偵 失われた戦前日本映画を捜して』高槻真樹/著、河出書房新社いつのまにか消えてなくなってしまった、戦前日本映画の名作たち。 それら失われた映画に心奪われ、フィルムを捜した映画探偵たちを追いかけたドキュメント。戦前の…

おなかの虫

スイッチョと鳴く。 『スイッチョねこ』大佛次郎/文、安泰/絵、フレーベル館きれいな声で鳴く虫は、おいしいに違いない。 好奇心旺盛の白い子猫が、虫を飲み込んでしまいました。 すると、おなかの中から「スイッチョ」と鳴く声がきこえて、さあ大変です。…

踊る踊る

猫もしゃくしも。 『踊る猫』折口真喜子/著、光文社画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした、不思議な9つの物語。読書記録をつけているのですが、数年前にこの『踊る猫』を読んだことになっていて、でもどんな内容だったのか記憶がなく、本当に読んだのかピンと…

ねこたち

熊さんの猫。 『ねこたち 猪熊弦一郎猫画集』猪熊弦一郎/〔画〕、ilove.cat/企画・編集、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/監修、ミモカ美術振興財団/監修、リトルモア猫、猫、猫……頭の中まで猫が住み込んでしまった画家の、愛のデッサン。画家・猪熊弦一郎の…

森の魔女

カブを探して。 『バーバ・ヤガー』アーネスト・スモール/ぶん、ブレア・レント/え、こだまともこ/やく、童話館出版カブを探して森の奥深くまで入り込んだ女の子マルーシャが、おそろしい魔女バーバー・ヤガーにつかまって…。ロシアの昔話です。この絵本…

城の猫

白猫じゃないよ。 『しろねこ 英国の古城に暮らす猫を訪ねて』石井理恵子/執筆・撮影、横山明美/執筆・撮影、新紀元社英国の美しい古城や貴族の館で暮らす猫たちをめぐる旅。美しい建物や風景、英国の文化に触れられる美しい写真たっぷりの1冊。猫たちも絵…

映画探偵

幻の映画はいずこ。 『チョコレートガール探偵譚』吉田篤弘/著、平凡社巨匠・成瀬巳喜男監督の映画「チョコレート・ガール」をひょんなことから追うことになった、作り話のような本当の話。フィルムは残ってないだろうと、早い段階で映像を探すことは諦め、…

夏の音

なんのおと? 『きこえるきこえるなつのおと』マーガレット・ワイズ・ブラウン/作、レナード・ワイズガード/絵、よしがみきょうた/訳、小峰書店小犬のマフィンをのせた車は、牧場をめざして走ります。 夏の牧場はとてもにぎやか、いろんな音が聞こえてき…

百年の継続

必要だから作る、ただそれだけ。 『100年かけてやる仕事 中世ラテン語の辞書を編む』小倉孝保/著、プレジデント社2013年、イギリスで『中世ラテン語辞書』が100年以上の年月をかけて完成した。 採算度外視ですすめられた辞書作りプロジェクトを追ったノンフ…

ぽっちゃり

デブ猫の大冒険。 『かなしきデブ猫ちゃん』早見和真/文、かのうかりん/絵、集英社デブ猫マルは、幸せな家ネコ生活から、ひょんなことで家を飛び出すことになり―。 愛媛県内を東へ西への大冒険。マルが家を出た理由がかなしすぎる。 見た目によらずとって…

キャッツ

歌うように読みたい。 『 キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科』T・S・エリオット/著、エドワード・ゴーリー/挿画、小山太一/訳、河出書房新社ミュージカル「キャッツ」の原作を、エドワード・ゴーリーの挿絵で。さまざまな猫たちが繰り広げる、奇想…

ぐるぐる

ナイスうずまき! 『鎌倉うずまき案内所』青山美智子/著、宝島社悩める人々が迷い込む「鎌倉うずまき案内所」。 そこは双子のおじいさんとアンモナイトがいる不思議な場所。6年ごとに遡りながら、少しずつ繋がっている物語。 人々は「案内」をきっかけにそ…

おふろ

10数えてあがりましょう。 『おふろ こねこのきょうだいかぞえうた』石津ちひろ/ぶん、石黒亜矢子/え、BL出版こねこのきょうだい、おふろに入ります。 おふろっていい気持ち!ひとつ、ふたつ、と数えながら猫の3兄弟が仲良くお風呂に入る、かぞえうた絵…

いつくしむ

その穴、ふさいでもいいですか? 『あなふさぎのジグモンタ』とみながまい/作、たかおゆうこ/絵、ひさかたチャイルドジグモのジグモンタは、穴ふさぎが得意な服の修理屋さん。 でも、みんな新しいものを欲しがるようになって…。 「穴ふさぎなんてもう役に…

ジンジャー

茶色は生姜色。 『ねこのジンジャー』シャーロット・ヴォーク/作、小島希里/訳、偕成社猫のジンジャーは優しいテレサのだっこが大好き。 いつものんびり、かごのなかでお昼寝。 ところがある日、子猫がかごの中に入ってきた。 ジンジャーと子猫、仲良く遊…

猫と暮らす

ともに生きる。 『命とられるわけじゃない』村山由佳/著、ホーム社愛猫もみじを看取ってから1年。 確執があった母との永遠お別れ。 それは、1匹の猫との出会いの時でもありました。猫たちと暮らす村山由佳さんのエッセイ。もみじとのお別れも、お絹さんとの…

烏外伝

垣間見る。 『烏百花 白百合の章』阿部智里/著、文藝春秋八咫烏シリーズ人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。 本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。本編も第2章がはじまったばかりで続きがとっても気になるのですが、そ…