ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

本(一般)

はなちゃん

毎日が夏休み。 『はなちゃんの夏休み。』石田ゆり子/著、ほぼ日石田さん家のラブラドールレトリバーはなちゃんから、お友達のぶいちゃんへ送ったお手紙。 写真たっぷりの、はなちゃんの日常。犬と猫に囲まれて暮らしている石田ゆり子さん。 この本は犬のは…

永遠の君を

救いたい。 『君は永遠にそいつらより若い』津村記久子/著、筑摩書房就職先も決まり、あとは卒業するだけの大学4年生、ホリガイが出会った人たち。 どこにでもありそうな日常に、人の心に隠れた闇を、静かに描いた作品。デビュー作にして、太宰治賞受賞作。…

よみがえる

変態→天才と脳内変換。 『よみがえる変態』星野源/著、文藝春秋音楽活動にドラマや映画の撮影、執筆活動。 心身ともに休まる暇もなく働き続け、ある日、病に倒れる。 復活までの一部始終を惜しげもなく綴ったエッセイ。突然ですが星野源さんが好きです。き…

ふたりの真実

事実と真実。 『流浪の月』凪良ゆう/著、東京創元社再会すべきではなかったかもしれない。 一緒にいるべきではないのかもしれない。 それでも再会した二人の、運命が動き出す。本屋大賞に輝いた作品。正直、なめてました。 すみません。読む前は、読んで楽…

夏子の物語

生きる、産む、産まれる。 『夏物語』川上未映子/著、文藝春秋パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子。 精子提供で生まれ、父の顔を知らない逢沢潤。 生まれて、生きる。『乳と卵』と連なる物語。 「とてもよかった!」と数人からすすめられたので読みま…

賢治せんせ

私はどこへ行くのだろう。 『賢治先生』長野まゆみ/著、河出書房新社賢治が汽車のなかで出会った「ジョバンナ」と「カムパネッラ」は、どこへ行ったのでしょうか。幻想的な物語。出てくるものや言葉が美しくて、うっとりしてしまいます。長野まゆみさんが描…

三足の烏

来園か、地獄か。 『楽園の烏』阿部智里/著、文藝春秋資産家である養父から、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。 その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。 この山には一体、何が隠されているのか? 八咫烏シリー…

映像の裏側

想像してごらん? 『イマジン?』有川ひろ/著、幻冬舎ドラマや映画をつくる映像制作の現場に飛び込んだリョースケ。 憧れの世界で、ひたすらにがむしゃらに突っ走る!最近のテレビドラマは、SNSなどに公式情報をいろいろアップしていて、撮影現場の様子をの…

カラフルな数

左右盲も研究してほしい。 『1は赤い。そして世界は緑と青でできている』望月菜南子/著、飛鳥新社「文字に色がついて見える」共感覚を備える女子大学生が、ありのままを綴ります。なんとなくの知識しかなかった共感覚。 とても興味深く読みました。共感覚…

犬王

窮極の美。 『平家物語犬王の巻』古川日出男/著、河出書房新社「平家物語」の現代語訳を手がけた古川日出男による、平家物語異聞。犬王は、同時代を生きた観阿弥、世阿弥とともに三代将軍足利義満の愛顧を受け、二者よりも贔屓にされていたと言われる能楽師…

春と

風を感じる。 『写訳 春と修羅』齋藤陽道/著、宮沢賢治/著、ナナロク社宮沢賢治の四篇の詩と、写真家・齋藤陽道が東北を中心に撮影した写真群。ミュージシャンの米津玄師さんが、創作に影響を受けた作品と語っていた宮沢賢治の「春と修羅」。 その詩の世界…

書くことは生きること

天職かもしれない。 『食っちゃ寝て書いて』小野寺史宜/著、KADOKAWA年齢的にも仕事的にもあとがない作家とあとがない編集者。 二人は自分の殻を破って先に進むことができるのか。「出版社とか編集の仕事をやりたいと思ったことあるの?」と、ある…

きみは何色

私は黒猫。 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ/著、新潮社イギリスに暮らすブレイディみかこさん。 人種も貧富もごちゃまぜの「元・底辺中学校」に通う息子の日常を描くノンフィクションです。話題になっていた本をようやく…

菓子パン

私はメロンパンがいいな。 『あんぱんジャムパンクリームパン』青山ゆみこ・牟田都子・村井理子/著、亜紀書房本にかかわる仕事をする3人が、自粛生活中のあれこれを交換日記風に綴ったエッセイ。「女三人モヤモヤ日記」というサブタイトルからも伝わってく…

シェイクスピア

伝説の本屋さん。 『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー/著、市川恵里/訳、河出書房新社パリ・左岸にある伝説のシェイクスピア&カンパニー書店に偶然住みつくこととなった、カナダから来た元新聞記者による回想記。これほ…

よくばり

ちょっとだけ。 『欲が出ました』ヨシタケシンスケ/著、新潮社ちょっと欲が出たときの人の顔っておもしろい。 描きためていたスケッチに解説をつけた、浅いようで深いスケッチエッセイです。『思わず考えちゃう』に続く、ヨシタケシンスケさんのエッセイ。 …

橙色の

まちの人と本。 『橙書店にて』田尻久子/著、晶文社お店で出会う人たちのこと、本のこと。 熊本で橙書店を営む店主が綴るエッセイ。なにげない日々のなかで出会う、お守りのような言葉たち。 背中をおしてくれたり、勇気づけてくれたり。 そのひとつひとつ…

水の番人

なぜ世界は失われたのか。 『水の継承者ノリア』エンミ・イタランタ/著、末延弘子/訳、西村書店東京出版編集部資源や技術が失われた世界。 水が貴重なものとなった世界で、違法に水を得た者は厳罰に処される。 人知れず残された泉を守る使命を持った「茶人…

けもの!

けもの愛。 『世界のかわいいけもの!』パイインターナショナルかわいいだけじゃないけど、かわいい! 42種類の動物たちの楽しい写真集。砂漠の天使スナネコ。 那須どうぶつ王国で赤ちゃんが生まれたことで、一躍人気者になりましたが、この本にもしっかりと…

忘れない

すべてはつながっている。 『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ/著、飯田亮介/訳、早川書房コロナの時代を生きる人々へイタリアを代表する小説家が贈る、2月29日から3月4日までに書かれた27編の短いエッセイ。私たちは、今をどのようにして生き…

タイムマシン

タイムマシンの無駄使い。 『四畳半タイムマシンブルース』上田誠/原案、森見登美彦/著、KADOKAWA真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。 そんな時にあらわれたタイムマシン。 このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコン…

地名から

雀の宮。 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』梨木香歩/著、筑摩書房地名から喚起され、想起された世界を描くエッセイ集。はじめの地図に、「雀宮」という地名を見つけて、気になった1冊。 寄居町の荒川沿いの崖の上に、「雀宮公園」という公園があるんです。 雀宮…

てぬぐい

そのポテンシャル。 『かまわぬの手ぬぐい使い方手帖』河出書房新社いろいろな使い方ができる1枚の布、手ぬぐい。 手ぬぐいの使い方、楽しみ方のアイデア満載の1冊です。マスクやお買い物バックなど、今まで使い捨てだった物を見直しはじめた今だからこそ、…

クローゼットのなか

着ることは生きること。 『LILY'S CLOSET』石田ゆり子/著、マガジンハウス石田ゆり子さんのクローゼットのなか。 おしゃれと暮らし、石田ゆり子さんの生き方が見えてきます。猫と犬と暮らす石田ゆり子さん。 Instagramを見るのが毎日の楽しみになっています…

仕事本

2020年4月の日記。 『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』左右社緊急事態宣言が発せられた日から始まる、77人の様々な職業の人々の日記。 仕事をテーマにした本であり、新型コロナウイルスと向き合うすべての人々が過ごした日常の記録でもあります。パン屋さ…

山で猫と

こんな暮らしがしてみたい。 『五十八歳、山の家で猫と暮らす』平野恵理子/著、亜紀書房母を亡くしたあと、八ヶ岳の麓の家に猫を連れてやってきた。 1年だけのつもりが、いつの間にか2年余り。 美しい四季、山暮らしの不便さ、ご近所さんとのおつき合い、厳…

わたしたち

One。 『わたしの全てのわたしたち』サラ・クロッサン/著、最果タヒ/訳、金原瑞人/訳、ハーパーコリンズ・ジャパングレースとティッピは16歳の、腰から下がつながった結合双生児。 はじめての学校生活、かけがえのない友達、家族、恋、別れ。 つまりは普…

魔女の庭

自然の声に耳をすませて。 『魔女のシークレット・ガーデン』飯島都陽子/著、山と渓谷社魔女の暮らしに欠かすことのできない植物52種を、季節ごとに、神話や言い伝えを交えて紹介しています。 美しいイラストがふんだんにちりばめられた贅沢な本。魔女と言…

誰かの特別な場所

どこにでもいる私の物語。 『どこにでもあるどこかになる前に。』藤井聡子/著、里山社個性を消す再開発、みなと同じ幸せを迫る閉鎖性…それでもこの地を愛したい! 富山にUターンしたアラサーライターの“第二の青春”エッセイ。私が暮らす寄居町も市街地活性…

読書会@リカ

7月12日、寄居読書会でした。 約半年ぶり、新型コロナ対策をしながら6名が集まりました。第19回目、課題本は梶井基次郎『檸檬』です。 檸檬はとても短いお話で、主人公の心情が綴られているだけで人が出てきません。 それもあってか、「何度読んでも頭に入っ…