忘れない
すべてはつながっている。
『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ/著、飯田亮介/訳、早川書房
コロナの時代を生きる人々へイタリアを代表する小説家が贈る、2月29日から3月4日までに書かれた27編の短いエッセイ。
私たちは、今をどのようにして生きるべきか。
そしてこれからをどう生きるべきか。
人は忘れる。
でも、忘れてはいけない。
人は信じたいことだけを信じる、と、コロナ禍のなかで痛感しました。
そして、信じたいこととは自分にとって都合のいいことだ、という悲しい現実。
新型コロナが流行してから、主にネットやSNS上で、いろいろな「専門家」による議論が飛び交っています。
「あれは間違いだ」「これが真実だ」「過剰だ」「危機感を持て」「それは意味がない」
専門家の数だけ意見があって、どれが正しいのか、わかりません。
それはつまり、ある側面から見ればどれも正しいし、どれも間違っているということなのかもしれません。
ひとつの事実に対してこんなにも意見が分かれていたら、みんなの思いをひとつにすることは難しい。
この危機をはやく乗り越えたい、みんなの願いはそれだけのはずなのに。
自分が信じたいことだけを信じるしかないのでしょうか。
このエッセイを読んでいたら、そんな不安や混沌とした気持ちがすこし楽になりました。
みんなに読んでほしい。
コロナ後のために共有したい願いが込められた1冊です。