ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

菓子パン

私はメロンパンがいいな。

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『あんぱんジャムパンクリームパン』青山ゆみこ・牟田都子・村井理子/著、亜紀書房

本にかかわる仕事をする3人が、自粛生活中のあれこれを交換日記風に綴ったエッセイ。

「女三人モヤモヤ日記」というサブタイトルからも伝わってくるように、世界中がモヤモヤとしていた時期に書かれたエッセイです。

仕事のこと、家事のこと、家族のこと、ペットのこと。
今までの「あたりまえ」が消え去った世界で、モヤモヤしながらも、なんとかやっていく。

「わたしたち」である前に「わたし」であること。

みんなが同じように悩み苦しんでいる時期でも、その生き方も考え方も悩みも楽しみも、当たり前だけど三者三様で、その感じにとても救われる気がするのはなんでだろう。
『仕事本』を読んだときも感じたのですが、「わたしたち」を形成する「わたし」は一人一人別々の人間だということを忘れずにいたいという私の思いが、そのまま本になったような感覚があります。

たとえば牟田さんは、この本の中で図書館や書店のことを何度か書いていますが、これも、私のような図書館・書店側の人間が書いたら、まったく別の世界が見えてくるわけで。
世界はひとりの人間から見た景色では語れない。
それを痛感する機会が、このコロナ禍に増えた気がします。

それぞれの生活があって、出来事があって、日常が続いている。
モヤモヤ日記、コロナ禍だから生まれた本なのだとしたら、棚からぼた餅的なうれしさがありました。