橙色の
まちの人と本。
『橙書店にて』田尻久子/著、晶文社
お店で出会う人たちのこと、本のこと。
熊本で橙書店を営む店主が綴るエッセイ。
なにげない日々のなかで出会う、お守りのような言葉たち。
背中をおしてくれたり、勇気づけてくれたり。
そのひとつひとつを大事にしていることが伝わってきます。
エッセイの中に、この本を作ることになったときの話があるのですが、そのなかで「『コルシア書店の仲閒たち』みたいな本を」という文が出てきて、「そうそう!」とひとりうなずいてしまいました。
久子さんのエッセイは、須賀敦子さんの本を読んでいるときと同じような空気感なんですよね。
美しい文章と、風や香りまで感じられそうな描写、透明感。
そしてその土地を愛おしく思う気持ちがあふれ出てくるところ。
少しずつ大切に読みたいので、なかなか読了しない本。
そして読み終わるのが惜しい本です。