ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

効率よく

読書でスキルアップ

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『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい』四禮静子/著、技術評論社

タイトルにぐっときました。
ドキッときた、というべきでしょうか。
スペースキー使ってる…。

ExcelとWordを効率的に使いこなすためのノウハウを教えてくれる実用書。

よくある図解でポイントを示すタイプの本と違って、文脈のなかで次々と展開させていくタイプ。

感覚としては「読書」で、読んでるうちにパソコンのコツも身についちゃう感じが新鮮です。

まさに文系におすすめです。

書かれている内容は基本的なことなので知ってることも多いのですが、改めて丁寧に説明してもらうと、何となく使ってたスキルに太鼓判を押してもらったようで、今後は自信をもって使えるようになりそうです。

索引もついてるので、知りたいスキルにすぐにアクセスできるのも嬉しい。

文系におすすめのパソコン本です。

パリで働く

仕事と暮らし。

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『パリの国連で夢を食う。』川内有緒/著、幻冬舎

パリの国連で働いていた5年半のあれこれ体験記。

川内有緒さんが取材して書いたノンフィクションを読んでいたら、その端々に見え隠れする川内さん自身の生き方にとても興味がわいてきて、この本にたどり着きました。
これぞまさしく川内さん自身について書かれた本。

パリ、国連、と単語だけ見たらなんともリッチな香りが漂ってきますが、そんな先入観も忘れてしまいました。
シャンゼリゼとかセーヌ川のほとりとかはあまり関係なかった。
たまたまパリの中にある、国際色豊かな世界。
多様性とか平等や平和を目指す組織なのに、なかなかな格差と不平等さとを味わえる場所という印象でした。

私は大学でフランス語と英語にかなり密着した4年を過ごしたわりに、というか、過ごしたはずなのに、それ以降はずっと外国と縁がない生活を送ってきてしまいました。
日本語でもコミュニケーションに難ありだった自分には、外国語なんて夢のまた夢という感じだったんですよね。
でも大学時代の友人には外国語を活かした仕事についている人が多くいることを思うと、もったいないことをしたような気がします。
環境だけ整っていても本人に意欲がないと人は育たないといういい例でした。

それにしても。
やっぱり川内有緒さんは興味深い。
川内有緒さんがおもしろい人だから書く本もおもしろくなるんだと確信しました。

彼女の見る世界をずっと追い続けたい。

この本を読み終えた今、『パリでメシを食う。』が読みたくてたまらなくなったので、次はこれだな。

人魚

人間に恋をした。

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『人魚姫』アンデルセン/原作、清川あさみ/絵、金原瑞人/訳、鈴木理策/写真、リトルモア

布、糸、ビーズ。
清川あさみさんが描く人間に恋をした人魚の物語。

子どもの頃に読んだ人魚の物語を、大人のための絵本に。

深い海は青一色ではなく、彩りの重なりが生命の息づかいを感じさせます。

粗いようでいて繊細な布の重なりやビーズの輝き。
ずっと見ていられる奥深さ。

清川あさみさんの絵本には他に『銀河鉄道の夜』や『幸せの王子』などがあり、グッとくるチョイスですよね。
大人になってから読みたい美しい童話ばかりです。

子どもにも簡略化されたお話だけでなく、しっかりした物語で読んであげたい。
そんな希望にもしっかり応えてくれる絵本。

これはきっと子どもがうらやむ大人の絵本です。

春一番

神様は犬。

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エチュード春一番 第1曲』荻原規子/著、講談社

大学生になる春、美綾の家に迷い込んできたパピヨン八百万の神様だった。
希望と悩みでいっぱいの大学生活と、ちょっと変わった神様との共同生活。
幼なじみとの再会と、昔の同級生の死にまつわるミステリー。

昨年、角川文庫版が出ましたが、元は講談社からタイガという文庫レーベルが創刊された時に出版された本。
私の手元にあるのは講談社タイガ版です。

神様が犬、しかもパピヨン
その設定も愉快だし、神様が語る神様の話がとても面白い。
真理だなあと思うことばかり。

荻原規子さんはファンタジーのイメージが強く、現代日本が舞台の『RDG』でも異能の人々のお話だったので、今時の普通の女子大生の物語はなんだか新鮮。

と思っていたら、パピヨンの神様が出てくるあたり、やはりしっかりファンタジー
気づかぬ間に不思議な世界に入り込んでいました。

荻原規子さんが描く少し古風な女の子がとってもキュート。

第2曲まで出版されています。
大宮氷川神社秩父神社三峯神社、オオカミ信仰の話なども登場し、ますます興味深い。
続きを熱望します。

ルーヴルにいる

白猫。

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『ルーヴルの猫』松本大洋/著、小学館

ルーヴル美術館の屋根裏に、人間から隠れて暮らしている猫たち。
1匹の白猫がきまりを破って外の世界にとびだしていく。

おとぎ話のようにメルヘンチック。
ミュージカル「キャッツ」を思い起こさせるような美しく幻想的な猫たちの世界。

古くからの美術館には、昔ネズミ除けのために猫を飼っていた建物もあったと、何かで見た覚えがあります。
ルーヴルにはこんな秘密があってもおかしくないかもしれませんね。

屋根裏に本当に猫がいるかもしれないし、絵に魅せられた猫だっているかもしれません。

哀しくて美しい。
お気に入りの本を見つけました。

週末は猫

島といえば、猫。

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『週末島旅』小林希/著、幻冬舎

世界中を旅する作家・小林希さんによる、日本の島旅エッセイ。

旅に出ることがむずかしい今だから、旅にまつわる本を読みたくなる。
小林希さんは、『日本の猫宿』『世界の美しい街の美しいネコ』など、猫と旅に関する本も書かれています。

この本も、表紙は猫!
島と猫は、切っても切れない関係ですからね。
猫島として有名な田代島も登場します。

島国日本の、さらに小さな離島の数々。
ユニークな風習が残っていたり、独自の生態系を築いていたり。
それぞれの島の歴史や風土が色濃く描かれとても興味深い。

そして、私たちにとっては一時の旅先であっても、そこで生まれ暮らしている人達の大切な故郷であるということをきちんと思い出させてくれる本です。

一般のガイドブックと違って、小林さんが実際に訪れた記録だというところがいい。
情報だけではなく、ひとりの人が感じたり体験したことが体温を伴って伝わってくる感じ。

「人」が感じられる本はやっぱりいい。

よく考えてみたら、今のご時世じゃなくても、こんなに島を巡ることってなかなかできないこと。

本だからこそ体験できるディープな旅を、存分に堪能できる1冊です。

本と旅する

本と旅は相性がいい。

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『本とあるく旅』森まゆみ/著、産業編集センター

旅先での本をめぐる断想を綴ったエッセイ集。

名作の舞台や作家の故郷をめぐり、旅先での思いかげない本との出会いを楽しむ。

名作の舞台をめぐる、と言えば、近頃は聖地巡礼といわれるアニメやドラマの舞台をめぐる旅が人気ですよね。
映像で見た場所を実際に訪れ、時には登場人物になりきって同じアングルで写真を撮る。
「本当にここだ」という答え合わせのような感じでしょうか。

「本と旅」には、また違った楽しみがあります。
文章で表現されていた「見たことがないけれど知っている場所」を訪れるのですから、こちらはいわば想像との答え合わせ。
表現ひとつひとつを拾い上げながら空気を感じ、書かれていなかった部分に思いをはせ、さらに想像を膨らませる。

「本と旅」ほど相性がいいものはないですね。

この本には、旅先で出会った本の話もたくさん登場します。
本を自分へのお土産代わりに。

旅に出るなら、ご当地だからこそ出会える本を探すのも素敵だなあと、いつか旅にでる時のために心に留めておこうと思います。