ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

猫が好き!

この直球のタイトルがいいですよね。

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『猫が好き』アヌシュカ・ラヴィシャンカ/著、デュルガ・バイ他/絵、野坂悦子/訳、グラフィック社

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函から出すとこんな感じです。

これはインドのタラブックスという出版社で作られた絵本で、1冊ずつ手漉きの和紙にシルクスクリーンで刷られ、手製本で仕上げられています。
すべてを手作業で行うその丁寧な本づくりにファンも多いタラブックス。
『夜の木』が特に有名ですが、刷りの時期によって表紙の絵や色使いが変わったりするので、版を重ねるたびに買いそろえる人もいるくらい、そのアート性は注目されています。シリアルナンバーが入っているのも、特別感があっていいですよね。

『猫が好き』は、インドの部族出身のアーティストによって描かれた個性的な猫のイラストが楽しい絵本。
アート好きにも、猫好きにも、これはおさえてほしい1冊です。

3人の魔女

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『三人寄れば、物語のことを』上橋菜穂子荻原規子佐藤多佳子/著、青土社

ヤングアダルト小説の名手3人による鼎談集。
精霊の守り人』『空色勾玉』『一瞬の風になれ』など、作家の名前にピンとこなくても作品は知っているという人、多いのではないでしょうか。

作家によって作品の生み出され方がそれぞれ違うこととか、意外とミーハーなんだなあとか、制作の裏側や人柄をのぞき見ることができる、ファンには嬉しい本です。

もうだいぶ前のことですが、この本をきっかけに3人のトークイベントが行われた時に参加してきました。
大好きな作品を生み出している作家さんにお会いできてお話を聞けることって、なかなかないですよね。しかも3人同時に!まったくタイプが違うのに日頃から仲が良い3人の掛け合い、とても楽しく、贅沢な時間を過ごすことができました。

私の持っている本には、3人のサインが入っています。
宝物の1冊です。

猫を助ける少女

橋本紡さんの作品には、いつも猫が登場します。
これは、その猫がテーマの作品。

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『猫泥棒と木曜日のキッチン』橋本紡/著、メディアワークス

突然失踪してしまった母親、残された私と小さい弟。
捨てられていた子猫。
助けられなかった命、助けてあげたい命。

かなり重たいテーマをいくつも重ね合わせているのですが、子ども目線で描かれているからかあまり現実感がなく、どこかファンタジーのようにも感じられる小説です。それでも読み終わった後に、ずっしりと残るものがある。

猫を助けるためにできることをやろうとする、高校生の勇気の物語。
猫好きには読んでほしいけれど、猫好きにはつらい描写もあります。
読後感を誰かと共有したくなる1冊です。

うさぎの好奇心

大きくて美しい絵本。

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きんのたまごのほん』マーガレット・ワイズ・ブラウン/さく、レナード・ワイスガード/え、わたなべしげお/やく、童話堂出版

とにかく大きくて、美しい!

ひとぼっちの雄うさぎが、ある日たまごを見つけるのですが、中でなにかが動いています…。

何が入っているのか気になって、たまごを押したり転がしたりするのが何とも可愛らしい!
たまごからひよこが孵った時、眠ってしまっているうさぎを、今度はひよこが押したり転がしたり。
微笑ましい物語と、色鮮やかで美しい絵に、眺めているだけで豊かな気持ちになります。

ワイズ・ブラウン&ワイスガードのコンビで作られた絵本はどれも素敵で、少しずつ集めています。
私がはじめて読み聞かせをしたのも、この二人の絵本『たいせつなこと』でした。
年齢にあわせて、いろんな作品を子どもに読んであげたくなります。

京都と映画

京都に行くときのお供候補だった本。


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『活動写真の女』浅田次郎/著、集英社

昭和44年の京都。映画好きの大学生の僕は、友人と太秦の撮影所でアルバイトをすることに。
そこで友人は、30年も前に死んだ女優の幽霊と恋に落ちてしまう…。
美しくて切ない、青春恋愛小説です。

描写が美しく、女優の美しさ、特に睡蓮の場面が好きです。
映像が目に浮かぶようで、京都を訪れたくなります。
大学を卒業してすぐの頃に読んだのですが、夏の京都が暑いというのも、この本を読んで知りました。
私が思い描く京都の空気感は、この小説の影響が大きいです。

美しい女優の幽霊、映画化したら壇れいさんに演じてほしいなあと思いながら読んでいました。

浅田次郎さんの作品は、物語の展開によって作品の好き嫌いがあって、今のところ半々だったりするのですが、これは大好きな1冊です。

大きいことはいいことだ

へその緒のついた、生まれたばかりの子猫が捨てられていたのを保護して育てたことがあります。
何日生きられるかわからないような、綱渡りの日々。
「おおきくなあれ」と毎日祈っていました。
その子は無事大人になり、16歳まで生きてくれました。

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『ねこがおおきくなりすぎた』ハンス・トラクスラー/作・絵、杉山香織/訳、徳間書店

小さい子猫をもらってきた夫婦のお宅。
やせっぽっちだった子猫は、どんどん大きくなって…。

か細くて弱々しい子猫であれば「おおきくなあれ」と祈りながら育てるのは当然。

でも、大きくなるにもほどがある!

ユーモアたっぷりの予想外の展開が楽しい絵本。
読み聞かせをしてもみんなでわくわく楽しめると思います。

シュールな…

かわいい顔してブラックな絵本です。

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『どこいったん』ジョン・クラッセン/作、長谷川義史/訳、クレヨンハウス

なくしてしまった赤い帽子をさがす熊のお話。

大阪弁がいいアクセントになっています。
ボーッとしたイラストが可愛くて、ほのぼのしたお話かと思いきや、衝撃の結末が。

シュールなので大人の絵本という感じがしますが、子どもには子どもの楽しみ方ができるのだと思います。
子どもに与えたくないという声もチラホラありますので、もしプレゼントに考えているようでしたら、一度自分で読んでから判断することをおすすめします。

ラッセンの洗練されたイラストがおしゃれな、飾っておきたくなる絵本です。

続編に『ちがうねん』と『みつけてん』もあります。