ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

小さな出版社

小さいけど、大きい!


『日本でいちばん小さな出版社』佃由美子/著、晶文社

ある日突然、出版社になってしまった著者の奮闘を綴った体験記。

この本、装幀やタイトルから勝手にイメージしていたのとは、ぜんぜん違いました。
なんとなく、穏やかで和やかにコツコツと、のんびりと本を作る人のイメージだったのです。
でも、もっとちゃきちゃきの、ビジネスとしての出版社、裏話満載の本でしたよ、これ。

入り口が「大手取次の口座」ってところがすごい。
社員1人だけの小さな出版社といいつつ、やってのけていることが桁違いなのです。

出版業界のことは何も知らない状態ではじめた出版社。
企画から原稿書き、編集、制作、装丁をこなし本を作り、取次への納品に、書店営業、そして経理もやる。
「本を作りたい」から始めたわけじゃないのに、出版社になったのだからやらなければ、との思いでこれだけやってのけてしまうのだから、バイタリティが半端ない。

それにしても、取次って…と、考えてしまいました。
大手取次の口座を持つということは、書店だけでなく、出版社にとっても乗り越えるのが難しい壁なのですね。

出版業界の裏側をのぞき見るような、とても興味深い本。
2007年の本なので、今は状況が変わっている所もあると思いますが、とても勉強になりました。

布にスケッチ。

素朴でおしゃれな猫の刺繍。


『フランスから届いた絵本みたいな刺しゅう』今野はるえ/著、産業編集センター

刺繍は、子どもの頃にすこしやった程度。
そんな私ですが、この本はどうしても欲しくて買ってしまいました。

そう、絵本のように、眺めるだけ。

絵本のキャラクターのような猫さんが自由に動き回る図案が楽しく、まるで物語のようにワクワクするのです。

刺繍の技術は我流だという今野はるえさん。
糸の動きも猫の輪郭も、描きだされる世界が自由でほがらかな印象なのは、そのためかもしれません。

いつか刺繍をはじめるなら、こんな風に布にスケッチしたい。

とっても素敵な刺繍の本です。

お店番@太原堂

5月5日、熊谷にあるブックアパートメント太原堂さんでお店番をしました。

太原堂は、ひと棚ごとにオーナーさんがいて、それぞれがこだわりの本を並べて販売している本屋さん。
私がお店番をするのは2回目です。

お店番の日は、お借りしている棚以外にも持ち込み品を並べられます。
前回は猫グッズをたくさん持ち込み「ひとり猫まつり」を開催。
今回は、自費出版系で次々と素敵な本が発売されたタイミングだったことから、「自費出版本まつり」!

前回と同じ机が用意されているのかと思っていたら、今回はとても素敵な棚が!
ウキウキしながらさっそく商品を並べました。


この棚うちにもほしい!ってくらい、すてきなコーナーのできあがり。

11時にオープン。
フライング気味に、持ち込んだ猫の本を求めてお客さまが来てくださり、にぎやかにはじまりました。

この日はゴールデンウィーク中ということもあり、次々とお客さまがいらしてくださいました。

自分の棚の本はもちろんですが、他の棚オーナーさんの本が売れるのもとても嬉しい。
いろんな棚からたくさんの本が旅立っていきました。

前回は手間取った閉店後のレジ閉めも、今回は反省をふまえてしっかり準備してきたのですんなりとクリア。

お店番は、もちろん責任はあるけど、とても楽しく、自分のお店の参考になるような気づきもあります。

またお店番したいと思います!

とりとねことうた

ぼくのために歌ってよ。


『 うたえなくなったとりとうたをたべたねこ』たなかしん/絵・文、竹澤汀/歌、求龍堂

窓辺の鳥に恋をした黒猫と、歌えなくなった鳥の、切ないラブストーリー。

鳥が歌えなくなったことには理由があって。
だんだんと鳥に近づいていく黒猫には、それがちゃんとわかっていて。

鳥に恋をした黒猫の愛情表現はどれもとても素敵で。

キュンとして、ハッとして、せつなくなる。

とても不思議な物語です。

心が静かに穏やかになる、大人のための猫絵本です。

QRコードがついていて、歌と朗読が聴けますよ。

だから本をつくる。

大切な人に届けるために。


『あしたから出版社』島田潤一郎/著、晶文社

設立から5年目に綴られた「夏葉社」誕生までの日々、そしてそれからの歩み。

1冊1冊こだわりぬいて作られた本に、ファンも多い夏葉社。

いつかネコオドルで夏葉社さんの本を扱いたいな、とずっと漠然と考えていました。
そんななか出会った『第一藝文社をさがして』という本に後押しされて、夏葉社さんに連絡をとり、お取り扱いさせていただくことになったのですが、漠然としか知らなかった夏葉社さんについてもっと知りたいという気持ちからこの本を手に取りました。

とても失礼なことかもしれないけど、勝手に抱いていたイメージとは、まったく違いました。

夏葉社という社名も、作っている本も、なんなら島田さんの潤一郎という名前からも、「スマートなヤツ」という印象しかなくて、シュッとした感じでパパッとひとりで出版社はじめちゃった人なのかと勝手に思っていました、すみません。

でも全然違っていました。
すべては喪失からはじまっていたこと、挫折や失敗やつらい体験のあとに今があることが、飾らない文章からまっすぐに伝わってきました。

目の前のひとりのために本をつくり、届ける。
この人が作る本だから信頼できるんだ、と、腑に落ちた感じ。

この本をもっと早く読んでいたら、きっともっと早く連絡していたのに。
シュッとした人、という勝手なイメージで先送りしていたことを後悔します。
そういえば、メールを送っても一向に返信がなかったので、届かなかったのかもと不安に思いSNSのDMを送ったら「すみません、メール確認してたのに、返信するの忘れてました!」というメッセージが返ってきたことは、この本を書いた島田さん、この本に語られた島田さんのイメージにぴったりだったな、と、今になってフフっと笑ってしまう出来事でした。

大切にしたいものが何かがはっきりと見えている人は、強い。

10年目に書かれた『古くてあたらしい仕事』(新潮社)も、もう少し俯瞰的な視点から自身の思いをまっすぐに語っていて、あわせて読むのをおすすめします。

うちのこ

久しぶりにうちのこのこと。


白ちゃ猫ことベル、1歳半です。

4月始め頃、ちょっと大変だったのです。

急に体調を崩し、何も食べなくなり…
動物病院で処方された薬を飲んでも一向によくならず、悪化しているようにしか見えない、悪夢のような日々。

1週間くらい何も食べようとせず、ほとんど動かず、最悪の事態を覚悟しました。

幸いにも、その後の病院での処置のおかげもあり回復に向かいましたが、まだ1歳半なのにつらい思いをさせてしまった、健康管理もちゃんとしてあげられなかったと、自分を責めました。

2週間以上が過ぎ、今はよく食べ、前ほどではないけどだいぶ動きまわるようになりました。
少し痩せたけど、元々ぽっちゃり体型だったので、今は普通体型です。
洒落にならないダイエットでした。

野良猫の子で、保護したときもひどい猫風邪をひいていたベル。
ちょっとしたことですぐに体調をくずす、かよわい子なのです。

やんちゃに元気に、どうか長生きしてね。

四字猫語

猫と学ぶ教養。


『ニャン故知新 猫のための四字猫語』 山内ジョージ/絵、愛育社

猫たちが体をはって四字熟語をおしえます。

人文字ならぬ、猫文字。

猫たちが表情豊かに四字熟語の世界を表現していて、絵を見るだけでなんとなく意味が伝わってくるのがすごい。

猫の次に多く登場するのはたぶんネズミ。
猫に追いかけられたり、噛みついたり、仲良くなったり。
猫の世界には欠かせない存在なのですね。

眺めているだけで笑えてしまう楽しい本です。