ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

猫と暮らす

ともに生きる。

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『命とられるわけじゃない』村山由佳/著、ホーム社

愛猫もみじを看取ってから1年。
確執があった母との永遠お別れ。
それは、1匹の猫との出会いの時でもありました。

猫たちと暮らす村山由佳さんのエッセイ。

もみじとのお別れも、お絹さんとの出会いも、Twitterを見て知っていたので、まるで親戚のおうちのことが本になったかのような感覚。

出会った時から妊婦さんだったお絹さん。
出産と、生まれてきた子どもたちのこと。

すべてが愛おしく、親戚のおばちゃん目線でうるうるしながら読みました。

命に代わりはいない。

今までに見送ってきた猫たち。
これから出会う猫たち。
いま一緒に暮らしている猫たち。

何匹いようと、どれだけ似ていようと、代わりにはならない。

私もそれを確かに知っています。

一緒に生きるということ。
それは、猫でも人でも変わらず、尊くかけがえのないことです。

烏外伝

垣間見る。

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『烏百花 白百合の章』阿部智里/著、文藝春秋

八咫烏シリーズ人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。
本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。

本編も第2章がはじまったばかりで続きがとっても気になるのですが、その前にこの外伝。

狡猾さや腹黒さをちらっと見せて、ちょっと嫌な気持ちにさせるのが巧い。
知りたくなかったー!と思わせる、登場人物たちの影の部分。
でも嫌いになれないのだから、もうどっぷりハマっているのです。

それとは反対に、とても清らかで純粋でまっすぐなお話もある。

私のお気に入りは「ちはやのだんまり」。
掛け合いも面白く、めずらしくコメディ要素があって楽しいお話。

これを読んだら、またシリーズを読み返したくなりました。
いつもいつも、もう一度読みたいと思っている八咫烏シリーズ。

新しい本を読むのに忙しくてなかなか再読の時間が持てないのですが、再読するならこれ!と決めています。

それから早幾年…。

読む本には困らない星の下に生まれたようです。

うちのこ

生後半年をすぎて、やんちゃざかりの女の子ベル。
ある日の夜、やらかしました。

気づかないあいだにトイレに入り込んで、閉じ込められてしまったのです。

何かすごい物音がする、と思いドアを開けたら、暗闇の中からベルが飛び出してきました。
閉じ込められていたのは、おそらく5分かそこらだと思います。

大暴れしたようで、いろんな物が倒れていたり、壁飾りが外れていたり。
フタは閉まってたので、水の被害がなかったのはよかったのですが。

片付けをしていたら…あれ?

壁に掛けていた刺繍の額を留めていた画びょうが見つからないのです。

狭いトイレのすみからすみまで探しても見つからない。

もしかして。

飲み込んだ?

まだ子猫で、興奮すると突飛な行動をするベル。
閉じ込められたパニックで、思わず拾って食べちゃっていてもおかしくありません。

でも元気そうだし、ご飯食べてるし。
ひとまずその夜は様子を見て、翌日動物病院に連れて行くことにしました。

でも私はベルの体調が気になって気になって、よく眠れませんでした…。
いつもよりぐったりしてない?とか、夜中に何度も起きて様子を見ていました。

そして翌日、動物病院へ。

画びょうを飲み込んでしまったかもしれない、と先生に説明して、レントゲンを撮ってもらいました。

そしたら。

なにも写ってなかった!
よかった!

画びょうがどこへ消えたのかは、未だ謎として残っていますが、ベルの無事が確認できて一安心です。

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わたし、やらかしちゃった?

いつも気をつけているけど、ふとした瞬間に何が起こるかわからない。

猫の安全と健康のために、もっともっと気を引き締めていかなくてはと思った出来事でした。

犬はだめ?

あきらめない。

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『いぬおことわり!』H.A. レイ/え、マーガレット・W・ブラウン/さく、ふくもとゆみこ/やく、偕成社

イヌは、動物園に行ってみたいと思っていました。
でも飼い主のおじさんに連れられて動物園に行ってみると、「いぬおことわり」と書かれています。
そこでイヌは、人間の子どもに変装することに。

マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本。
H.A. レイが絵を描いています。
『ひとまねこざる』、おさるのジョージの作者と言った方がわかるでしょうか。

ワイズ・ブラウンの絵本、ワイスガードとコンビを組んだ作品以外で持っているのはこれだけ。

この絵本との出会いは、とある読み聞かせの会でした。
小学校の教室で、読み聞かせの方が読んでくれたのがこの絵本。
とってもユニークなお話に、小学生と一緒に絵本の世界に引き込まれていました。

あとでワイズ・ブラウンだと知って、ちょっと意外で、でもなんだか嬉しかったですね。

残念なことに今は絶版(重版未定?)のようです。
長く愛される絵本のはず。
みんなを笑顔にしてくれる楽しいお話です。

美賀子

女の幕末。

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『正妻 慶喜と美賀子』林真理子/著、講談社

一条家から一橋慶喜のもとへ嫁いだ美しき姫、美賀子の目線で描いた幕末大河小説。

NHK大河ドラマ「青天を衝け」で、登場シーンは少ないもののとても印象深く、気になっていた美賀君。

本を探してみたら、この『正妻』を見つけました。
というかこの本以外、きちんと書かれている本がほぼなかったです。

小説なので史実に忠実というわけではないと思いますが、林真理子作品なので読みやすく面白い。

女性目線の描き方なので全体的にやわらかく、歴史小説は難しくて苦手という人でも無理なく読めると思います。

大河ドラマ慶喜と美賀君が気になったという人にはぜひおすすめ。
ドラマでは慶喜と美賀君のエピソードはさらっと描かれてしまっているので、ドラマの世界をより深く楽しむにはうってつけの本です。

小説のなかでは、美賀君目線で栄一の活躍ぶりにも触れられています。
「青天を衝け」はまだまだ序盤ですが、大河ドラマの副読本としてあるいは外伝として、読んで損なしの作品です。

お客さまのこと

久しぶりにお店のこと。
以前から考えていたことで、最近強く意識する機会がありました。

ネコオドルでは、お客さまのことはSNSなどの記事にしないようにしています。

こんなお客さまとの会話がありました。
同級生が来てくれて20年ぶりの再会でした。
本の趣味があうお客さまと盛り上がりました。
あの人が来て、こんな本を買っていってくれました。

などなど。
楽しいひとときであればあるほど、嬉しい出会いであればあるほど、みなさんと共有したくなるのですが、来てくださったお客さまに関することは、たとえそれが知り合いであっても書かないと決めたのです。

なぜか。

私にとってはオフィシャルなことだけれど、お客さまにとってはプライベートなことだから。

とっても単純で当たり前のことですが。
むしろ当然の「業務上知り得た情報」を秘匿する義務だと思います。

お客さまが個人のSNSで「ネコオドルに行ってきたよ」と投稿してくださるのは大歓迎で、見つけると嬉しくてリツイートしたりコメントしたりしています。

見つけると本当に嬉しいです!
ありがとう!!って心の中で叫んでます。

でも、だからといって調子に乗って私がお店のアカウントで「こんなお客さまが来てくれましたよ」と書いてはいけないと思うんですよね。

あの店で買い物すると公表される、というようなイメージがつくと、来るのをためらうお客さまがいると思うし、安心してお買い物していただけないのはとてもかなしいことですよね。
私も、参加すると必ず主催さんのSNSに載せられてしまうイベントがあって、もう行きたくないなあと思ってしまいます。

お客さまのプライベートは守っていきたい。
それがたとえ知り合いでも、友人でも。

今まで、小学校の同級生とか、大学の友人や後輩、お世話になってる方々や地域の知り合い、猫仲間など、「ああ、書きたい!」と思うようなお客さまや出来事がたくさんありました。

でも、徹底して書かないようにしています。

ちょっと真面目すぎ?

でも、もし書くなら個人アカウントで十分です。
共通の知り合いに伝えたいだけなんだから。

ちっちゃいローカルなお店だけど、オフィシャルな気持ちは忘れないようにしたいと思っています。

ご本人に「いいよ」って言ってもらえればもちろん書いていいのだと思います。
でも、もし「あの子が来たときは記事にしてたのに、私の時は無視?」みたいな嫉妬心(嬉しい)を招いてしまっても大変なので、今のところ書いていません。

考えすぎ?

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猫のお客さまは載せてなかった?

猫のお客さまは載せてました!

あと、オフィシャルで来ていただいた方(取材や作家さんなど)は載せることでお互いWin-Winなので、載せます。

お店をしていると、嬉しい出来事ってたくさんあります。
オブラードに包む、個人を特定できない載せ方をする、など、技術を磨けばうまく記事にできるのかなあ。
どうやって表現したらどこにも迷惑かけず、角も立たず、ハッピーになるのかな、と、日々模索してます。

カカオの車

歴史に残るレースです。

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『カカオカー・レーシング』今井昌代/著、ヒグチユウコ/背景画、グラフィック社

「カカオカー・グランプリ」が始まる!
カカオカーに乗った生き物たちが順位を競います。

なんという愛らしさ!

テディベア・ぬいぐるみ作家の今井昌代さんが作るぬいぐるみたち。
ヒグチユウコさんのイラストでおなじみのキャラクター達がたくさん登場します。

イカとタコの吸盤がビーズで細やかな仕事っぷり、ひとつめちゃんの瞳の美しさ。
ため息がもれるアート作品でこんなおもしろ絵本にしてしまうなんて。

大人の遊び、贅沢の極みです。

お話も楽しくて大好きです。
撮影がいいんでしょうね。
ぬいぐるみなのに動きを感じて、臨場感バッチリ。

子どもと楽しく実況中継風に読みたい。
素敵な絵本です。