17歳の物語
猫も登場します。
『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織/著、朝日新聞社
17歳。
ちょっと裕福な家庭で育った、私立の女子高に通う女子高校生たち。
彼女たちの、少しずつ重なりあう6つの短編集です。
江國香織さんの描く少女たちは、とても魅力的。
純粋で、繊細で、残酷で、容赦ない。
大人や友人や、テストや席替えやボーイフレンドに、振り回されないようにふるまいながら、自分らしくいられているのか確かな自信はない。そんな揺れ動く17歳の少女たちに、エールを送りたくなります。
大丈夫。そのままで。
学生の頃、席替えが一大事だったことを思い出しました。
学生って、ままならないことのほうが多いけど、大人よりもはるかに自由だと思います。
想像の域を超えないことが多いほど、想像の中でどこまでも羽ばたくことができるから。
限界を知ってしまった大人はとても不自由です。
自分は誰かの幸福であると同時に、哀しみでもある。
そんなことを感じながら読みました。
それって、幸せなことですよね。
かつての17歳の少女たちへ。
いつか記憶からこぼれ落ちてしまったかもしれない、切なくてしあわせな物語集です。