夢のタッグ
あなたはだあれ?
本屋さんで偶然見つけるまで、須賀敦子さんがこんな物語を残していたとは知りませんでした。
須賀さんの洗練された文章と、酒井駒子さんの透き通るような優しい絵。
小さい子どもへの絵本のような顔をして、とても奥の深い、大人のための絵本です。
読んでいるうちに「こうちゃんって誰だろう」という疑問がわいてきます。
友達のような妹のような、妖精のような精霊のような…
優しい気持ちになったかと思うと、ふと怖さを感じたり、愛おしく思ったり、さみしい気持ちになったり。近くにいるようでどこか遠くから見守ってくれているような、自分のなかにいるような、不思議な存在感をもった「こうちゃん」。
読む人によって、読んだ時の心のありかたによって、感じるものが変わってきそうな物語です。
なにより須賀敦子さんと酒井駒子さんのコラボ、奇跡のようです。
美しいものを愛する人に贈りたい1冊です。