凛と美しい花
泥の中から咲く美しい花です。
『ハスの花の精リアン』チェン・ジャンホン/作・絵、平岡敦/訳、徳間書店
湖の舟の上で一人暮らす貧しい漁師のローおじさん。
ある日助けたおばあさんからもらったハスの種を植えて育てると、つぼみの中からリアンという女の子が現れました。
リアンは魔法でおじさんの暮らしを助けてくれて、おじさんの暮らしは豊かになります。
ある日、そのうわさは王の欲ばりな娘にも届き…。
中国の絵本作家、チェン・ジャンホンの作品です。
圧倒的な絵の力、そして物語の力に引き込まれます。
ジャンホンの絵本はどれも力強く、心に迫ります。
この作品はその中ではどちらかというと静かな印象を受けますが、それは、泥の中から美しい花を咲かせる蓮の神秘的なイメージを、そのまま物語にしたかのようで、ジャンホンの物語を紡ぐ才能なのだと感じます。
花の精と漁師の優しい絆を描いた、心癒される物語。
子どもたちに読んで聞かせたい、大型の美しい絵本です。