誰かの特別な場所
どこにでもいる私の物語。
個性を消す再開発、みなと同じ幸せを迫る閉鎖性…それでもこの地を愛したい!
富山にUターンしたアラサーライターの“第二の青春”エッセイ。
私が暮らす寄居町も市街地活性化計画真っ只中なので、他人事ではなく読みました。
「この場所らしさ」ってなんだろう。
守っていくべきことと、新しく築いていくべきこと。
暮らしやすい場所を新しく提案することは、それまでの暮らしを捨てなさいと言うことと同じなのかもしれない。
ちょっと不便で、雑然としていて、混沌としている場所でも、それは歴史であり、生活そのものであり、簡単に捨てていいものではないだろう。
なにもかもが「きれい」に「スタイリッシュ」になっていくことに抵抗があって当たり前。
街をつくるのはそこに集う人々だということを忘れないようにしたい。
忘れないでほしい。
この本は、自分のことを読んでいるような感覚でした。
富山を寄居に置き換えて、映画や雑誌も別のワードに置き換えるだけで、そのまんま私の物語。
寄居町が、どこにでもあるどこかになってしまわないように。
読書会@リカ
7月12日、寄居読書会でした。
約半年ぶり、新型コロナ対策をしながら6名が集まりました。
檸檬はとても短いお話で、主人公の心情が綴られているだけで人が出てきません。
それもあってか、「何度読んでも頭に入ってこなかった」という意見がちらほら。
起承転結のようなわかりやすい物語がないので、とらえどころがない印象なのですね。
ほかに「若さを感じる」「自分にとっての檸檬とはなにか」といった感想がありました。
私はこの話を映像的に覚えていて、積み上げられた本の上の檸檬の黄色や、暗がりに明るく灯った果物屋さんが、鮮明に見えるようでした。
実は今回、ひとつの区切りの会でした。
主催してくれていた人が寄居を離れることになったのです。
寄居読書会は、メンバーみんなで引き継いで続けていくことになりました。
ちょっとゆるやかな形になるかもしれないけど、本好きのみんなで集まってワイワイ話ができる場所は守っていきたい。
みんなの思いは一緒でした。
嬉しいです。
とても素敵な場所を作りだしてくれた主催さんには、本当に感謝です。
離れてしまっても、つながっていられますように。
次回の読書会は9月になりそうです。
コロナの状況をみながらになりますが、本好きが集まれる場所、守っていきます。
富士山
無視できない存在。
『富士山、2000年の秘密』戸矢学/著、かざひの文庫
なぜ富士山は『古事記』に記述がないのか。
同郷の戸矢学さんが書いた本。
この本を手にするまで、古事記に富士山のことが書かれていないとは知りませんでした。
圧倒的な存在感を放つ日本の霊山、富士山。
どうして古事記に無視されたのか、なるほど気になります。
古事記や日本の神話、神社など、興味はあるけど知識がない私。
日本の神様の名前など、覚えられなくて、覚えるのを諦めた過去があります。
風水となるとまったくわかりません。
そんな私でも、難しいな、と途中思いながらも興味深く読みました。
そしてその謎解きが面白かった!
日本にもこんなにワクワクする謎があるよ!と、ダヴィンチ・コード好きな人に教えてあげたくなった1冊です。
水惑星
わたしたちは水です。
『水の手紙 群読のために』井上ひさし/著、萩尾望都/絵、平凡社
すべての水はひとつにつながっています。
子どもたちの未来と水惑星・地球の行方への祈りをこめて。
これは、2003年に井上ひさしさんの出身地である山形県で上演された群像劇の台本です。
地球温暖化、水争い、水の問題は、やがて地球の未来、子どもたちの未来を脅かす。
水にまつわる幅広い内容を取り上げながら、大事なことをとてもわかりやすくシンプルに伝えています。
井上ひさしと萩尾望都のコラボレーション。
萩尾望都さんの美しいイラストに惹かれてこの本を手に取る人も多いかもしれません。
美しいこの本が、水の話に関心を持つきっかけになるといいです。