おばちゃん
元気な幽霊。
『おばちゃんたちのいるところ』松田青子/著、中央公論新社
幽霊たちが現れて、悩める現代人を救う。
シュールで愉快な連作短編怪談集です。
松田青子さんといえば、ちょっと変わったテイストの作風がクセになる作家さん。
これを読むとハマってしまうかもしれません。
おばちゃんたちは幽霊です。
八百屋お七や皿屋敷のお菊さんなど、おなじみの怪談をモチーフにしたお話は、私たち現代人を前向きにさせてくれるなんとも不思議なパワーがあります。
謎のヘッドハンター・汀さんや幽霊のおばちゃんなど、それぞれに完結した17の短編をひとつにつないでゆくキーパーソンも魅力的。
結局具体的なことはよくわからない。
よくわからないのだけど、死者も生者も同じようにいきいきと描かれた物語は、読んでいて爽やかな気持ちになる。
こんな幽霊なら会ってみたい、と思わせる、怖くないのに面白い怪談集です。
マドレーヌ
理想の夫婦。
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学/著、KADOKAWA
かのこちゃんは小学1年生の女の子。
マドレーヌ夫人はアカトラの猫。
かのこちゃんと友だちのすずちゃん、マドレーヌ夫人と犬の玄三郎。
ドキドキする毎日は、ちょっと不思議に満ちている。
ずっと前に一度読もうとしたときは、たぶんこの本の気分じゃなかったんだと思います。
冒頭の猫の集会のところで読むのをやめてしまったんですよね。
いま思うと、すごくもったいないことをしました。
こんなに面白いお話なのに!
マドレーヌ夫人の主人って、そっちか!
外国語って、そっちか!
と、あとちょっと読み進めるだけで面白くなる要素がたくさんあったのにね。
ちょっと不思議で優しくて、あたたかい悲しみに包まれる読後感。
それにしても「子どもと猫」って最強です。
空飛ぶ宝石
自然の中で出会う美。
『世界の美しいカワセミ』パイインターナショナル
カワセミとその仲閒たちの美しい写真集。
寄居町には荒川沿いに「かわせみ河原」とよばれる河原があり、そのためかカワセミという鳥には昔から親しみを覚えます。
カワセミにもいろいろな種類がいるんですね。
光沢のある青色のカワセミがおそらく一般的に知られていると思いますが、種類によってその青もさまざま。
青という色彩の豊かさに惹きつけられます。
他にも赤やオレンジ、白や紫と、色鮮やかな羽の色は眺めていて飽きることがありません。
カワセミはブッポウソウ目。
同じブッポウソウ目のショウビンもおさめられています。
ショウビンも美しい鳥ですね。
鳥の愛らしく美しい姿に心が癒やされる1冊です。