そのときまで。
愛のかたまり。
『さよなら、ちょうじろう。』小泉さよ/著、ベストセラーズ
かけがえのない存在。
かけがえのない毎日。
出会いから、病気の発覚、闘病、そしてお別れ。
大切な愛猫を看取るまでの、かけがえのない記録。
いつか必ず来る、そのとき。
イラストレーターの小泉さよさんが、愛猫との暮らしと闘病の日々、そしてお別れのことを綴ったイラストエッセイです。
前にうちで飼っていた子を思いだしました。
からだが大きくて、ちょうじろうと一緒で小型犬用の首輪をしていました。
ちょうじろうがだんだんと痩せていく様子が、その子と重なって。
大きな猫だったから、変わりゆく姿が切なかった。
寿命が違うのだから、人間より先にいなくなることはわかっていること。
だからこそ、一緒にいられる時間を大切に、幸せに暮らしていけますように。
動物と一緒に暮らしている人に読んでほしい1冊です。
図書館の歴史
人にも建物にも、物語がある。
上野で出会った喜和子さん。
明治にこの国に初めてできた「図書館」。
喜和子さんが生きた人生と、図書館の歴史をたどる物語。
図書館が主人公の小説を書くという発想、子どもの頃に出会った忘れられない絵本の思い出。
ちりばめられたエッセンスがどれも魅力的。
登場する人物も個性的で必然的で、魅力的なエッセンスのひとつです。
図書館に通っていた文豪たちの逸話がちりばめられていたり、図書館と予算との戦いはいつの時代も変わらないどころか、最初からそうだったのかい!という永遠の課題を見せつけられたり、とにかく図書館好きにはたまらないエピソードがたくさん登場します。
そして、深い。
図書館の歴史を紐解きながら、一人の女性の人生を描いています。
人も社会も教育もなにもかも戦争や災害によって翻弄された時代。
一番の犠牲者は、大人の意思に巻き込まれるしかない「子ども」だということ。
久しぶりに、読み終わって熱い思いが胸に残る本に出会いました。
だから読書はやめられない。
本を愛するすべての人に。