ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

春のかおり

春が待ち遠しいですね。

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『はなをくんくん』ルース・クラウス/ぶん、マーク・サイモント/え、きじまはじめ/やく、福音館書店

冬眠からめざめた動物たち。
はなをくんくんさせて走っていくと、そこには…。

動物たちが眠る静寂につつまれたモノクロの冬から、少しずつ世界が動き出し、春がやってきます。

だんだんと躍動していく様子に、ワクワク感が高まります。

そして最後のページの、なんという優しさ。

春が待ち遠しいこの季節、子どもたちに読んであげたい絵本です。

そのときまで。

愛のかたまり。

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『さよなら、ちょうじろう。』小泉さよ/著、ベストセラーズ

かけがえのない存在。
かけがえのない毎日。
出会いから、病気の発覚、闘病、そしてお別れ。
大切な愛猫を看取るまでの、かけがえのない記録。

いつか必ず来る、そのとき。
イラストレーターの小泉さよさんが、愛猫との暮らしと闘病の日々、そしてお別れのことを綴ったイラストエッセイです。

前にうちで飼っていた子を思いだしました。
からだが大きくて、ちょうじろうと一緒で小型犬用の首輪をしていました。
ちょうじろうがだんだんと痩せていく様子が、その子と重なって。
大きな猫だったから、変わりゆく姿が切なかった。

寿命が違うのだから、人間より先にいなくなることはわかっていること。
だからこそ、一緒にいられる時間を大切に、幸せに暮らしていけますように。

動物と一緒に暮らしている人に読んでほしい1冊です。

ブルドッグ!

鼻がきくんです。

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ブルドッグたんていときえたほし』谷口智則/作・絵、文溪堂

ブルドッグたんていに解けない謎はありません。
「ほしをさがしてほしい」と、ブルドッグたんていに手紙が届きました。
星が空から消えてしまったのです。
ブルドッグたんていは、星を見つける事ができるでしょうか。

谷口さんの絵本はおしゃれで、あったかい。
子どもに読んであげたくなる絵本ばかりです。

ブルドッグたんてい、シリーズにしてほしいくらい大好きです。
ブルドッグが探偵なんですよ。
渋い顔つきがたまりません。

見返しのデザインも素敵です。
大人も子どもも大満足な絵本です。

図書館の歴史

人にも建物にも、物語がある。

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『夢見る帝国図書館中島京子/著、文藝春秋

上野で出会った喜和子さん。
明治にこの国に初めてできた「図書館」。
喜和子さんが生きた人生と、図書館の歴史をたどる物語。

図書館が主人公の小説を書くという発想、子どもの頃に出会った忘れられない絵本の思い出。
ちりばめられたエッセンスがどれも魅力的。
登場する人物も個性的で必然的で、魅力的なエッセンスのひとつです。

図書館に通っていた文豪たちの逸話がちりばめられていたり、図書館と予算との戦いはいつの時代も変わらないどころか、最初からそうだったのかい!という永遠の課題を見せつけられたり、とにかく図書館好きにはたまらないエピソードがたくさん登場します。

そして、深い。
図書館の歴史を紐解きながら、一人の女性の人生を描いています。
人も社会も教育もなにもかも戦争や災害によって翻弄された時代。
一番の犠牲者は、大人の意思に巻き込まれるしかない「子ども」だということ。

久しぶりに、読み終わって熱い思いが胸に残る本に出会いました。
だから読書はやめられない。

本を愛するすべての人に。

猫のあたし

あたしのお話。

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『あたしの一生 猫のダルシーの贈り物』ディー・レディー/著、江國香織/訳、飛鳥新社

猫の「あたし」と「あたしの人間」の物語。

私が読んだのはずっと昔で、新装版になる前の本。
猫本にまだそこまで興味がなかった頃で、江國香織さんが訳した本というので手にしたのでした。

江國さんの魅力もたっぷり味わえたし、猫の物語の面白さをはじめて感じたのがこの作品でした。

猫目線で書かれた物語。
愛にあふれた物語です。

古本屋さんで出会ってしまったので思わず買ってしまった新装版。
またゆっくり読み返したいです。

つながる世界

のの絵本。

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『の』Junaida/著、福音館書店

わたしの
お気に入りのコートの
ポケットの中のお城の…

「の」でつながる世界。
どこまでもどこまでも広がっていきます。

言葉と言葉をつなぐ脇役的な存在「の」が、こんなにも世界を豊かにしてくれるのです。
ワクワクと楽しくページをめくり、そして終わり方も見事。

無駄がないのにたくさんのことを語りかけてくる、不思議な美しい絵。
飾っておきたくなる素敵な表紙です。

計算されつくした完璧な絵本。
プレゼントに選びたい1冊です。

ニャー

ニャーニャー。

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『せかいねこのひ』井上奈奈/絵と文、新日本出版社

ある朝目覚めたら、誰もが言葉を忘れていました。
口から出るのは「ニャー」という鳴き声だけ。
困った人たちは、こんな日は猫をお手本に過ごそうと決めました。

8月8日は世界猫の日
なぜこの日が「世界猫の日」に制定されたのか、誰にもわからないそうです。
これは「もしかしたらこんなことがあったのかも」という想像から作られたお話。

みんな猫をお手本にして、幸せな1日を過ごしましょう。

カバーをはずすと世界中の「ニャー」が隠れています。
『ウラオモテヤマネコ』の井上奈奈さんによる、おしゃれでかわいい猫絵本。