図書館の歴史
人にも建物にも、物語がある。
上野で出会った喜和子さん。
明治にこの国に初めてできた「図書館」。
喜和子さんが生きた人生と、図書館の歴史をたどる物語。
図書館が主人公の小説を書くという発想、子どもの頃に出会った忘れられない絵本の思い出。
ちりばめられたエッセンスがどれも魅力的。
登場する人物も個性的で必然的で、魅力的なエッセンスのひとつです。
図書館に通っていた文豪たちの逸話がちりばめられていたり、図書館と予算との戦いはいつの時代も変わらないどころか、最初からそうだったのかい!という永遠の課題を見せつけられたり、とにかく図書館好きにはたまらないエピソードがたくさん登場します。
そして、深い。
図書館の歴史を紐解きながら、一人の女性の人生を描いています。
人も社会も教育もなにもかも戦争や災害によって翻弄された時代。
一番の犠牲者は、大人の意思に巻き込まれるしかない「子ども」だということ。
久しぶりに、読み終わって熱い思いが胸に残る本に出会いました。
だから読書はやめられない。
本を愛するすべての人に。