小鳥の愛の歌。
『ことり』小川洋子/著、朝日新聞出版
「小鳥の小父さん」と呼ばれる男の一生を描いた、静かで優しく切ない物語。
周りの人みんなが良いと言っている本でも、なかなか入り込めなくて読み進められない作品があります。
それに比べてこの本は。
大きな事件も起きないのに、最後まで心をとらえて離さない、物語の力を感じます。
鳥の声が響きわたる本。
小鳥の小父さんの人生を通りすぎていく人々は、みんな鳥の気配を忍ばせていて、すっと現れてすっと消えていきます。
小川洋子さんの作品を読むのは3作目かもしれません。何で読んでこなかったんだ!と、自分を責めたい。
久々に作家読み、始める予感。