盛者必衰の理。
池澤夏樹個人編集で編まれた日本文学全集の第9巻。
平家物語をきちんと読んだことがありませんでした。
はじめての通読はこの本。
所々に知っている逸話が出てくるので、答え合わせをするような気持ちで読みました。
読んでみて、なにより面白かった。
古川日出男さんの文章が独特で、変調やまわりくどさを感じながらも、それが結果として読みやすさを助長していたような気がします。
飽きさせない。
これに尽きます。
物語が進むにしたがって合戦の描写が増えるわけで、つまり、むごい話も。
激動の10年の物語。
戦いに明け暮れた日々の、記録です。
女性の話が哀れですね。
やはり心に残るのは、哀れな、心が痛むお話です。
恋の話は、源氏物語のようにも感じながら読みました。
源氏、平氏。
琵琶法師が語り継いできた平家物語。
その琵琶の音が聞こえてくるような1冊です。