レモンの島で
思い出のおやつ。
『ライオンのおやつ』小川糸/著、ポプラ社
若くして余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。
そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった。
なぜかレモンに惹かれるものがあって、いつか行ってみたいと思っていた場所が瀬戸内のしまなみ海道。
そんな瀬戸内のレモン島が舞台の小説です。
33歳の若さで余命宣告され、ホスピス暮らしを選んだ主人公。
想像しきれないものがあります。
でもその暮らしは、美味しいものと楽しみがいっぱいで、光に満ちたおだやかなものでした。
結末はどうしたって悲しみの色を帯びてしまう。
最初からわかっていたけど、やっぱり、何度も涙ぐみながら読みました。
ぽっかりと穴があいたような虚無感に、あたたかく優しい気持ちが満ちてくる物語です。