ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

行ってみたい。

f:id:nekoodoruneko:20190906131428j:plain
『霧のむこうに住みたい』須賀敦子/著、河出書房新社

須賀敦子さんが愛するイタリアの風景。
出会った人も、料理も、風土も、みんな魅力的です。

静かで芯のある須賀さんの言葉が、心地よい。

目の前のことに少し疲れた時に、ちょっとずつ読みたくなる、大切な1冊です。

よろず

春夏冬と書いて「あきない」と読みます。

f:id:nekoodoruneko:20190906131233j:plain
『よろづ春夏冬中長野まゆみ/著、文藝春秋

妖しく煌く14の短篇集。

あぁ、これはまさに長野まゆみ…。

ボーイミーツボーイ。

小さなきっかけから、いつの間にか異世界に迷いこみ、出逢ってしまった男たちの物語。

じっとりとした怖さを感じる作品もあり、奇妙な世界から脱け出せなくなります。

猫と古民家

猫と人が幸せに暮らす家。

f:id:nekoodoruneko:20190217122809j:plain
『猫と人と古民家と』南里秀子/著、幻冬舎

古民家再生をしたいと考えている人に、参考になるのかどうかは正直わからないですが、勇気を与えてくれることは間違いない。
失敗も後悔も、隠さず全部教えてくれます。

著者の南里さんのことを知らなかったので、つくろうとしている猫のための古民家がいったいどういうものなのか、よくわからずに読みました。

猫楠舎。

予算の倍かけて生まれ変わった古民家。

いつか行ってみたいと思わせる、魂のこもった猫の家です。

お茶

毎日がしあわせ。

f:id:nekoodoruneko:20190906131307j:plain
日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』森下典子/著、新潮社

私も習っていればよかった。
母が茶道をしていたのに…。

通っていた女子校には茶道部があって、「茶道部に入るとお菓子が食べられるらしい」という理由で人気の部活でした。私はお菓子につられることなく、茶道部には入りませんでした。

私の人生をすりぬけて行ってしまったお茶の世界。
この本を読んで、激しく後悔しました。

お茶の世界、知りたかった!

この本は、茶道を教えるような実用書ではないのですが、つまらない教本を読むよりもよっぽど茶道の魅力が伝わってきます。

映画化もされたというこの本。
映像でもぜひ観てみたいと思いました。

夜の猫

猫だけが知る。

f:id:nekoodoruneko:20190906134603j:plain
『夜に猫が身をひそめるところ Think』吉田音/著、筑摩書房

クラフト・エヴィング商會の吉田夫妻のひとり娘である吉田音さんの作品。

学者にして探偵の円田さんと「ミルリトン探偵局」を結成した音さんは、円田さんの家にやってくる黒猫シンクが持ってくる「おみやげ」から、猫だけが行くことができる「見知らぬ世界」を推理していきます。

日常にひそむファンタジーの扉。

とても読みやすくて、するするとミルリトン探偵局の世界に入ってしまいました。

この作品、続編があるんですよね。
ぜひ手に入れて読みたいと思います。

庭猫

網戸に飛べ!

f:id:nekoodoruneko:20190906105436j:plain
『庭猫』安彦幸枝/著、パイインターナショナル

庭猫のアフとサブ。
ぽっちゃりしていてよく似ている、2匹の白猫をおさめた写真集。

仲良く寄り添ったり、ネコパンチしあったり、愛らしい姿が満載。
所々に添えられた言葉もきいています。

うちの老猫2匹も、元は庭猫の母娘でした。
なかなか人馴れしなくて長いこと庭暮らしをしてましたが、数年かけて家猫に。
母猫の方は何度も出産を経験していて、家猫になったときにはもう歯が1本もありませんでした。
今は歯がないおかげで口内の病気の心配もなく、かえって元気ですよ。最後の1本が残っている時はよだれがひどくてつらそうで、かわいそうでした。

ガラス1枚が隔てる家の中と外の世界。

その差は、大きい。

そんなことも考えさせてくれる、猫好きを惹きつけてやまない写真集です。

ごんごん

色彩の洪水。

f:id:nekoodoruneko:20190827214850j:plain
ねこのごんごん大道あや/さく、福音館書店

1匹の子猫がある家に迷いこんできました。
年老いた猫のちょんは、子猫にごんごんという名を与え、あたたかく見守ります。

何事も、自分でおぼえるが肝心。
ちょんが繰り返すこの言葉が印象に残ります。

あたたかくも厳しい教え。

大道あやさんは、60歳から絵を描き始めました。
「原爆の図」で知られる画家の丸木位里は兄で、兄夫婦が埼玉県東松山市にいたことから、大道あやさんも埼玉に移り住みました。埼玉で多くの作品を生み出しています。
身近な場所に縁のある人だと思うと、嬉しくなります。

草花や動物が描かれ生命力あふれる、力強い作風。
手元にあることが誇らしくなる絵本です。