送る
すべて自由だ。
『晴れたら空に骨まいて』川内有緒/著、ポプラ社
亡くした大切な人の、それぞれの弔い方。
故人と残された人の出会いから思い出の日々、見送りの時、そしてその後。
丁寧に取材して綴られた、5組が見つめた「生と死」の物語。
『バウルを探して』ではじめて読んだ川内有緒さん。
川内さんが紡ぐ文章がとてもよくて「他の本も読みたい」と思い、この本を手に取りました。
やっぱりよかった。
どこが、と説明するのが難しいのですが、文章の中に「人」を感じるんだと思います。
取材相手や、そこにいた人達、そして川内さん自身の気配。
川の流れのように、映画を観ているかのように、本の世界にするすると身をまかせてしまう感覚があって、それが心地いい。
川内さんの文章にある「素直さ」が、私を惹きつけるのかもしれません。
この本は、それぞれの方法で大切な人を弔った人達を丁寧に取材したものです。
散骨は日本ではあまり一般的ではないけれど、お墓をたてるだけの葬送もちょっと違うのではないかと思っている私には、とても関心があるテーマです。
生き方もそれぞれであるように、死んだ後もそれぞれでいいじゃないか。
自由な見送り方。
とてもすがすがしく、静かに熱い気持ちにさせる本です。