あたりまえ
生きにくい世の中だけど。
「生きること」を考えさせる、動物たちが主人公の9つの物語。
「死んだように生きるのは、意味がないと思ったんだ」
子グマのこの言葉が印象的です。
本のタイトルになっている「クマのあたりまえ」は、死ぬのが怖くて、死なないものになりたいと思いたつ子グマのお話。
とても短いお話ですが、生と死、生きるということの本質を、易しく端的に表わしている。
ハッとさせられます。
サイコパスなアオダイショウ、布を織るアメンボなど、登場する動物も個性豊か。
そしてみんな、どこか不器用で、一生懸命生きている。
寓話のように、やさしくあたたかな語りで強く鋭いパスを渡してくる。
ほんわかとしているだけではない、厳しさを持った物語たちです。
静かに考えながら読みたい本です。