ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

千年の森

ブルースを歌う犬。

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『 千年の森をこえて』キャシー・アッペルト/著、片岡しのぶ/訳、デイビッド・スモール/絵、あすなろ書房

テキサス州東部、メキシコ湾へと流れこむサビーン川の上流。
うっそうとした森に1匹の捨て猫が迷いこみ、千年にわたる不思議な物語は動きはじめた…。

現在、25年前、そして千年前の、3つの時を行きつ戻りつしながら、ネイティブ・アメリカンの神話息づく太古の森を舞台にくりひろげられる不思議な物語。

森に生きるものたちがたくさん登場します。
物語の中心には、猫と犬、蛇とワニ、鳥たち。
そして森そのもの、木々が重要な存在となっています。

木々の持つ力。

人間はせいぜい100年。
でも森には、千年を生きて、すべてを見守り語り手となれる存在がある。

長い長い時間のこの物語を読んだら、「宿命」という言葉が浮かびました。

運命ではなく、宿命。
ひとりや1匹の存在に降りかかるものよりもっと大きな力が、それぞれの種族にはあるのかもしれません。

1匹の猫からはじまる物語。
ここに描かれる人間はとてもかなしい存在でした。
つらく苦しい場面もありますが、最後には信じられるものがきっと見つかるはずです。

2009年にニューベリー賞銀賞を受賞した作品。