人気者をつくる
自分を演じる。
『野ブタ。をプロデュース』白岩玄/著、河出書房新社
編入生のいじめられっ子、野ブタを人気者にする。
人気者の着ぐるみを着た桐谷修二は見事プロデュースできるのか?
テレビドラマ、再放送されてますね。
小説では、野ブタは男。
修二には彰のような相棒はいないし、頼りになる大人もいません。
修二は圧倒的に孤独。
これが人気者の高校生の真実の姿なのだとしたら、この世界はとてもかなしい場所だと思います。
白岩玄さんが、「この作品を書いた当時はそんな友達も大人もいないのが現実だと思っていた」ということをSNSに書かれていたのを読みました。そして「脚本の木皿泉さんが描いた、彰や大人がいる世界を、今の自分なら信じられる」とも書かれていて、あぁ、すべての孤独な高校生にこの言葉を届けたいと思いました。(言葉選びやニュアンスが違うかもしれません)
ジャンルもテイストも全く違うけど、貴志祐介さんの『青の炎』を読んだときと似たような読後感を抱いた本です。
孤独が見せる絶望は暗く深い。
でもこの作品には希望が残されていて救いがあります。
ドラマは見たことがなかったのですが、今、再放送で見ています。
どんな展開になるのか、期待を込めながら。
ドラマと小説は全然違います。
心をえぐる面白さ、小説でどうぞ。