ネコオドルのほんのつぶやき

自然豊かな小さな町で、猫4匹と暮らしています。小さな本屋「ネコオドル」店主が、本のこと猫のことなどをつぶやきます。

猫のおつげ

あなたのための言葉。

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『 猫のお告げは樹の下で』青山美智子/著、宝島社

ふと立ち寄った神社で出会った、お尻に星のマークがついた猫。
猫のミクジの葉っぱのお告げが導く、あたたかい7つの物語。

2話目の「チケット」が大好きでした。
中学生の娘と仲良くなりたい父親のお話。
ジーンときました。

そして「スペース」は、私のための物語かのよう。

どのお話も、じんわりと心にしみます。

こんな時にはこんな言葉を聞きたい、と思うことを、さりげなく言ってくれる。
青山美智子さんの物語からは、底知れない優しさを感じます。

猫は主役ではないのだけど、とっても重要な存在で、その描かれ方もとてもいい。
ミクジに会いたいし、ミクジがいるといいなあと思うのです。

そして、ミクジがいる神社の宮司さんがいい。
お告げの意味がわからずに悩む人たちに、ちょっとだけ道筋を示してくれます。
「何かの答えを見出すことより、迷いながら歩く日々のほうこそ人生」という内容のセリフに、グッときました。

宮司さんだけじゃありません。
7つの物語のなかに登場する主人公のまわりの人たちからも、生きていく上で忘れてはいけない事を思い出させてくれるような、素敵なセリフがたくさん出てきて、胸が熱くなったり、ちょっと涙ぐんだりしてしまいました。

迷ったり悩んだりしてる人を導いてくれる猫、とても素敵です。
私にも笑いかけてほしい。

みんな、いろんなことに迷って、悩んでる、その人生がすばらしい。

優しくあたたかい気持ちになれる、極上の物語です。