星に願いを
七夕の夜に、この1冊。
『流れ星が消えないうちに』橋本紡/著、新潮社
喪失と癒しの物語。
忘れられない過去の悲しみ、今そっと寄り添ってくれる優しさ。
これは青春小説であるけれど、「青春の痛み」と言ってしまうには主人公の抱えるキズははかり知れない痛みを伴っているはずで、いつまでもヒリヒリとしたものが残って心を揺さぶり続けるものだと思う。
読み終わってもしばらく切ない気持ちが消えない、その読後感が、そう思わせます。
自然に涙があふれる。
こんな風に書くと、深刻な話みたいに思われそうですが、これは爽やかな青春小説、そのものです。たからこそ切ないのかな。
とても優しくて、いとおしくて、せつない、そんな物語。
とても大切にしている1冊です。