一筋縄ではいかない
梨木香歩さんの作品を読んでいると、現実と虚構の境をふわふわと漂っている気分になる。油断するといつの間にか不思議な世界に入り込んでしまい、抜け出すのに苦労してしまう。ちょっと中毒性があるのかもしれない。
『からくりからくさ』梨木香歩/著、新潮社
世界観が私にピタリとはまった。
自然の力と超自然的な力、それぞれの神秘や脅威が、あまりにさりげなく同じ軸の中で居合わせているので、不可思議な出来事も当然のことのように受け入れられてしまう。
人形、キリム、草木染め。
うまくつきあわないと何かとんでもないことになってしまいそうな、一筋縄ではいかなそうな、そんなキーワードがたくさん出てくる。
少し怖いような、背中がスーっとするような感覚を至るところで受けるのだけど、これはある女性の物語であり、れっきとしたファンタジーです。